トマ・ピケティ「21世紀の資本」〜読み終わりました!(泣)

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やっと終わりました。最後まで読み終えたことに感涙です。

先週までは練る前にチビチビ読んでいましたが、半分を過ぎたあたりから「これではいかん」と思い、休日に一気に最後まで。しかし最後は結局夜になってしまい、眠気と闘いながらのクライマックスでした。

途中経過でも申し上げましたが、中身は全然難しくはありません。経済学の知識ゼロ(私です)でも大丈夫。数式もたくさんでてきましたが、細かい所は無視して読んでも理解度にはあまり影響しませんでした。そういったところも売れる理由かも知れませんね。

ピケティはフランスのヒトですが、フランスだけでなく、ドイツ、イギリス、アメリカ、そして日本のデータも分析していますので、私たち日本人にとっても興味をもって読むことができる一因ではないでしょうか。

本の中には、「ゴリオ爺さん」のような小説の中の経済状況からゲイツやジョブズのような起業資産家まで、わかりやすい事例で例えながら、噂の「r>g」→「資本収益率が所得の成長率を上回るときに格差を生み出す」という話が導かれていきます。「資本収益率」ってなんだ?というような基礎的な話は、まず最初に示されます。(が、結構いろいろなことを忘れてしまって前に戻ることもしばしば…)

あまた登場するグラフが、どれもこれも同じに見えてしまうのですが、同じようだけれど条件が少しずつ違っていて、その違いは何だろう…などとグラフを見比べていたりすると読むスピードが落ちてしまいます。ただ、このたくさんのグラフから推測するに、非常に多くのデータを分析してこの本が書かれたことは伝わってきます。

大戦前以来初めて所得格差が広がっていること、累進課税の最高税率が、どの国(特にアメリカ)も低下傾向にあることが、格差を広げているのではないかという話、そしてその格差を縮めるには、富める者はより多くの税金を払って社会に還元せよという累進課税論も展開。分析や考察ばかりでなく、解決への持論も展開されているところがエラいなと思いました。それが正解であるかどうかは別としてですが。

累進課税、格差解消の方策の1つとして、不動産以外の資本にも課税してはどうかという話もありました。資産のある人はほおっておいてもどんどん資産が増えていく(資本収益率の高さがポイント)という、なんとなくみんなそうだよなと思っていることが、課税で解決されるなら是非やってもらいたいところ。

先日ピケティ氏が来日した時も、その持論通りに消費税を上げるよりも累進課税を!と言っていたように思いますが、ピケティ氏がアベノミクスをどう評しているのかはこちらで。

トマ・ピケティ氏が来日しアベノミクスを一蹴「うまくいく保証はない」 - ライブドアニュース

私も、どうみても起業と金持ち優遇(自民党らしい…)としか思えませんわ。

で、ビジネス本は読まなきゃ良かったと思う本ばかりなので読まないようにしているのだけれど、やはりこちらは別格。苦労して読んでも全く後悔なしでした。

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このページは、raizoが2015年2月14日に書いたブログ記事です。

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