アララギ第5巻第2号
アララギ歌壇
左千夫 選
四疊半裡閑居
湯本政治
うづくまる吾がうしろ影小さき室の壁にみちたりさ夜の靜かに
夕げ終へてほろ醉耳にきく雨のゆく秋ながらさびしくもあらず
ほろ醉の耳になごめる雨の音に小さき室の内つらねむれり
太筆の壁にうつれるその影の太き筆もが吾がふるひ見む
○
枯あしにゐつくうすら氷の渚低く岸の黒土に狐のあしあと
さよ中とふけゆく今を木の葉ふむはなに吾耳にちかく
やるせなの思ひを空にゆく秋の木の葉のちるをたゞながめ居り
小鳥一羽たちたる後ゆほろりちる木の葉にふかき秋はこもれり
吾がこゝろやすくしづけく夜の神のとばりの下にうまいせむ今
にはたづみ秋の名殘のもみぢ葉のしづくも乏し雨の朝あけ
編輯所便
○一月十五日 信州の湯本禿山君上京
数日滞在せられ候 (千樫記)
☆☆☆
↑ということで、上京したらしく…
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