この本は、鶴見さんが美容院の一室を教室に、生徒に文章をどう書くかを教えるという企画を記録したものです。鶴見さんに文章を教わることができるなんて…とにかく非常に羨ましい!
まずは鶴見さんの考える文章の理想の紹介から始まります。誠実さ、明晰さ、わかりやすさ…の3つ。そして自分が文章を書くということは、自分の思いつきのもとになる…とも。確かにいろいろ考えるだけでは頭がぐるぐるしていても、文章を書いていると頭の中がまとまってきます。
そして、つぎは書評の書きかた。良い例、悪い例を引きながら、生徒さんの書いた書評に講評して行きます。
その次は「自分の見たこと、聞いたこと」について書くというもの。最後は文章の「目論見書」を作ります。目論見書とは、文章のタイトルと目次を作り、どんな文章にするのかが考えてもらうというものです。
講評やお話のそこかしこに、鶴見さんがよいと思う文章が紹介され、読んでいる私たちにも大変勉強になる内容です。
さらにこの講座で何度も出てくるキーワードが「紋切り型」。
鶴見さんはまずこの本の冒頭で、文章を書く上で大切なことは、余計なことは言わないことと、紋切り型の言葉をつきくずすことになる…と最初におっしゃっています。紋切り型と殴り合いをし、格闘せよ…とまで。
さてでも紋切り型ってなんだろう。私も言葉としてはわかっているようでわかっていませんでした。ここで私がその説明をするのも難しいのですが、この本を読んでいると、ああこういうことか…というのがなんとなくわかってきました。
良さそうな文章を書こうとして、どっかで聞いたようなフレーズを使ってしまいがちですが、それがまさに紋切り型。ありますねぇ、そういうこと。代表的なのは役所の文書。紋切り型だけでてきているようなものです。
格好つけずに「自分の言葉」でわかりやすく書けということなのかなぁ。これは実践して身に付けていくしかないですね。このブログも駄文でお恥ずかしいですが。
この本、折りに触れて開き、鶴見さんにまた教わろうと思います。
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