島田潤一郎「古くてあたらしい仕事」:本の力を感じて。

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夏葉社の島田潤一郎さんの新しい本をやっと入手できました。待ちに待っていたので一気に読了です。今回は「夏葉社」の本ではなく、新潮社の本です。

新潮社さんの本なのですが、どこか雰囲気が夏葉社さんの本に似ていて、判型も少し小ぶりで可愛い装丁(南伸坊さんが担当)の本でございます。


島田さんの前著「あしたから出版社」から5年。夏葉社さんも今年で創立10年です。

「あしたから出版社」は、「就職しないで生きるには」シリーズということもあってか、今の仕事を始める前、そして始めてから「こんなことをしてきた」という具体的なお話中心でした。

今回は、やっぱり仕事のお話ではあるけれど、島田さんの夏葉社の本と本の仕事に対する愛が、よりいっそう深まっているように感じました。前書きから「ぼくは今の仕事が好きだ。大好きだ。」と始まるくらいですから。

この10年で、さらに本も出版し、たくさんの本の仕事に関わる方、読者の方々と接している中で、ご自身の仕事への気持ちが整理され、この本につながったのではないでしょうか。あしたから出版社の時とは文章そのものもだいぶ印象が違っています。これが10年続けてこられた中での経験からのものなのですね。最後の庄野潤三さんのご家族の皆さんとの交流の話も良かったなぁ。「何度も読み返される本を」という夏葉社のキャッチフレーズの誕生の秘密と言いますか、その理由が読み進むうちに伝わってきましたし、心に残るフレーズもたくさんありました。

「本を買って帰ることで豊かになる」

これは借りた本では得られない何かがあります。それが新刊であっても古本であっても関係はないのですが、お店であれこれ選んで本を買って家に帰る道々の嬉しさ。本棚に並べる(積読になってしまうことも多いですが)時の楽しさ。ちなみにここまでは電子書籍では味わえません。読まなくてもすでに楽しい。さらに読むことによって楽しめますし、それでも私は本の中身をすぐに忘れてしまうのだけれど、どんなジャンルの本であれ、それは心の片隅に何かを残してくれています。時にはハズレの本もありますけどね。

そんな本の力を信じて、自分の欲しい本と思える本を作り、私たちに届けてくれている島田さん。その島田さんがひとりで続けている出版社が10年続いたということは、本をめぐる業界ももう少し頑張れるのではないかと期待も持てました。

この本の中で、島田さんがずっと追い続けていたアーティストの新譜をいつしか買わなくなるという例えが出てきましたが、私はまだまだ夏葉社さんの本を追い続けていくことになりそうです。ハイ。

次の本、楽しみに待ってます!

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このページは、raizoが2019年12月 7日に書いたブログ記事です。

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