「津波のあいだ、生きられた村」:久しぶりに三陸震災本。

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仙台メディアテークにて手にとり、店頭で迷いに迷って購入。

明治三陸地震、昭和三陸地震と津波の最高遡上高を記録した、岩手県大船渡市の綾里地区の話です。


この舞台となる綾里地区は、明治の津波では多くの被害を受けましたが、その後の復興で高台移転が進み、東日本大震災では、犠牲者が比較的少なかったそうです。地名は知っていましたが、そういった地区だったことはこれまで全く知りませんでした。

この3つの津波と津波の間の期間、どのように復興させてきたか、どう行動したのかというのが話の軸となります。大学の研究レポート的な内容で、写真や図版なども多数。そしてここでポイントとなる本がこちら…

山口弥一郎「津波と村」 - now and then

明治と昭和の津波の間については、この山口さんのこの本の調査結果も活用されていました。やっぱりいい本だった。(しかし一箱古本市で若者に売ってしまいました…)

それはさておき、この3度の津波の間の過ごし方が、東日本大震災の際の防災にもプラスに影響していたことは間違いなく、もう少し大きく取り上げられても良いのではないかと感じました。小さな地区の方が、コミュニティがまとまっていて良い方向に進むという印象はありますが、それを差し引いでも日々ダメダメな事例ばかり目にしているので、少し羨ましくもあります。

でも漁業の不振や人口減少など、別の問題もありますから、今後三陸の多くの地区がどこまで存続できるのかなとも思います。人もお金もどんどん都会に流れる一方です。

今はまさに次の津波との間にいることになりますが、これまでにないコンクリートだらけの大復興事業は、実はあまり安心感がないような気がします。テクニカル的に防災にはなるのかもしれないけれど、暮らしの観点からは無機的すぎて…。

ともあれ、私もこういった記録を読むのは久しぶりでしたが、出会えて良かったと思いました。今後に向けて、こういった記録がもっと生かされますように。

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