田中勝則「中村とうよう 音楽評論家の時代」600ページ近くでも苦にならず。

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若い頃は渋谷陽一派だったため、「中村とうよう」という人物はいわば敵でありました。ロッキング・オンを毎月読んでいた時期もありましたが、聞く音楽がロックではなくなってきつつある時期にやめました。どちらかというとR&Bなど黒人系の音楽を聴くようになったからです。いわゆるワールドミュージックも気になっていたりしました。

そうなってくるとどうしても目の前に現れてくるのが「中村とうよう」さんでした。怖いイメージがあって、特集が読みたくてたまに買うミュージック・マガジンの「とうようずトーク」を読むと、やっぱり怖い人だと再認識するという繰り返し。

ただ、私が一番音楽を聞いていた時代に活躍していた音楽評論家でもあり、亡くなられたあとに出版されたこの600ページ近い大作を迷わす買ったはいいものの、その本の厚みに圧倒されて3年も本棚に並べたまま。読まなければとずっと気になっていたこの本を、今になってやっと開き、読み始めると面白くてやめられず、あっという間に読了しました。


この本がこれほどの厚みになってしまったのは、評伝でもありなおかつ中村とうようの「仕事」を網羅するものだったから。とうようさんがかかわったアルバムのディスコグラフィーも掲載され、資料的価値も高いものでした。知らない音楽がたくさんでてくるので、時にはApple Musicで検索して聴きながら読み進めたりと、普通とはちょっと違う楽しみ方もできました。

とにかく個性的な人だということはもう生前からわかっていたことなので驚きませんが、音楽への情熱と傾倒ぶりが、様々なジャンルに向かい、それが時代とともに変化していくあたりを興味深く読みました。

私自身の音楽人生との接点が所々に現れて、それがなお楽しくもありました。おぉ!と思ったのが、ナイジェリアのスーパースター、サニー・アデのところ。とうようさんもかなり入れ込んでいたそうで、当時なぜか私もこの来日コンサートに行ったのでした。どういうきっかけだったか全く覚えていないのですが、外務省の行う「アフリカ月間」の一環で招致sれていたのですね。そのあたりも全然知らず、コンサートに行くことが決まってから買ったと思われるLPレコード(引っ越しの際に最も高く売れたレコードとなりました)で予習。実際のコンサートも最後は観客が入り乱れて踊り出すというすごい盛り上がりで、その高揚が忘れられないコンサートの1つです。

すごい人だったという言い方はありきたりなのだけれど、いまこんなにエネルギッシュな音楽評論家はなかなかいらっしゃらないような気もしますし、多少ズレはあるものの、音楽的に同時代を過ごしてきたということもあり、とうようさんのやってきたことを、この本を読むことによっておさらいできてよかったです。

どうようさんチョイスの様々なアルバム、聴いてみたいものばかり。テレサ・テンも聴きたくなったので、Apple Musicで聴きますかね。

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このページは、raizoが2020年9月 5日に書いたブログ記事です。

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