高村志保「絵本のなかへ帰る」(岬書店):私にとっての灯台は…

| コメント(0)

絵本のなかへ帰る夏葉社代表島田さんの別レーベル、岬書店の新刊は高村志保「絵本のなかへ帰る」。著者の高村さんは、お父さんが始めた長野県茅野市の「今井書店」の二代目店長さんです。

目次には、28の絵本や児童書のタイトルが並びます。最初は絵本の読書案内なのだろうかと思っていましたが、本を開いてみるとさにあらず。最初の章「おやすみなさいフランシス」(福音館書店)は、今井書店のはじまりのお話からスタートしました。


そのあとは、高村さんの子どもの頃のこと、本屋さんをしていたお父さんのこと、息子さんのこと、そして本屋さんのお仕事のこと。みんな高村さんの身の回りに起きたことなのだけれど、エッセイではるのですが、静かな物語のような文です。

特に何度か出てくるお父さんが絵本を読んでくれるどころが印象的でした。さすが本屋さんを始めたお父さん。そしてその思い出が、高村さんへ、そして高村さんの息子さんへとつながっていて、子どもが絵本に触れることの大切さがじんわり伝わってきます。そして高村さんの絵本大好き度もひしひしと。

「私にとって、絵本は帰る場所だ。灯台だ」という高村さん。私も最後には、本を読んでいればなにかいいことがあるよね…という気持ちになって本を閉じました。心地よい余韻です。

その高村さんが店主の今井書店さん、地域の保育園に2,400冊もの「こどものとも」を届けているのだそうです。いやすごい。茅野の保育園すごいなぁ。

実は私も、数カ月だけ通った横浜の幼稚園にで、その頃に創刊されたばかりの「かがくのとも」を毎月購読していました。結局たった5冊しか読めなかったのだけれど、石巻に引っ越してきたあとも、その5冊を何度も何度も読みました。本当に思い出深いのです。この話は以前にも書きましたね。

ほぼ日で「かがくのとも」のお話連載中。 - now and then
薮内正幸画「だじゃれどうぶつ図鑑」 - now and then

その5冊。
しっぽのはたらき|福音館書店
たべられるしょくぶつ|福音館書店
あなたのいえ わたしのいえ|福音館書店
て と ゆび|福音館書店
あげは|福音館書店

いやほんとうに5冊とも全部大好きです。私にはこれがすっかり刷り込まれています。私にとっての灯台です。

ここ2年ほど、月一回「大人のための子どもの本を読む会」という集まりに参加するようになり、たくさんの絵本や児童書に触れる機会が増えました。それでも、高村さんがとりあげた28冊の本の中には、知らない本もたくさんあります。どれも高村さんのおすすめの本ではないかと思いますので、みんな読んでみたくなります。

子どもに本に触れる機会を作ってあげることももちろん大切ですが、大人になっても絵本を楽しむことはできます。そんな機会を作ってくれた主催のYさん、ありがとうございました。会の再開待ってます!

鬼スリップちなみに、岬書店恒例の、スリップの島田さん直筆イラストは...鬼でした〜。

コメントする

アーカイブ

子規の一句

花一つ一つ虻もつ葵かな

くものす洞広告

このブログ記事について

このページは、raizoが2021年2月27日に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「2020年第4四半期はiPhoneがトップシェアだったそうで。」です。

次のブログ記事は「プチひな祭り。」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。