石巻のザワザワ。

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10年目の3月11日を控え、石巻市内もザワザワしてきました。諸々の取材、遠方から訪れる人。かなり久しぶりに西洋人の旅行者もみかけました。コロナ禍でなかったら、もっとたくさんの人が来たことでしょう。

ここにきて、復興予算で作られた諸々のハコモノや道路などの土木構築物もやっと完成(もしくは慌てて作っている)し、できてみてびっくりなものばかりです。


最近のびっくりは橋。震災で橋が流された訳ではありませんでしたが、旧北上川河口には未完成含め4つの新しい橋が架かります。落とされた橋は2つなので2つ増えました。

新内海橋が最初にできましたが、川にかかる部分は良いのですが、橋の裾の道路がひどい。狭いエリアに無理やり橋を着地させていて、一方は狭い交差点につながっていて車が増えて歩行者としては怖くなりましたし、妙な渋滞が起きるようになりました。大雨の時に水没する交差点なので、これからどうなるのだろう。

橋の向こう側は、これまた狭い土地に無理やり着地させているので、インターチェンジのようにぐるぐる回らされるため、南方向優先で北の方向に行こうとすると不便。

もう1つは、川の中にある中瀬地区に行く中瀬橋。

古い西内海橋にかわる西中瀬橋は、これまでより30m上流になり、すでにわかりにくいと苦情が入っているらしいです。一番の目玉の観光施設、石ノ森萬画館へのアクセス道路とは思えない湾曲ぶりで、歩いて渡っても遠回りさせられた上に無味乾燥で全く楽しくありません。個人的には元気いちば前から萬画館まで観光渡船でも運航して欲しいくらいです。

中瀬地区にかかる左右岸橋梁の名称
【お知らせ】1/28「西中瀬橋」開通に伴い周辺の交通事情が変わりました。 | 石ノ森萬画館

さらにこれから東岸に向かって歩道だけの橋を架けるのだとか。仕方ないですが、どこも車優先なので、歩道の幅があるというだけで、歩行者にやさしいとはあまり思えません。

しかも、堤防の上の遊歩道と橋の接続部分も怖い。遊歩道は橋の下をくぐらせるのだと想っていましたが、今の盛土と完成予想図からすると、遊歩道を上流に進む場合は、車道を横断しなくてはいけません。それなりの通行量はあるので、おそらく信号もないですし、ランニングやサイクリングをしたい方には不便そうです。

そもそもスーパー堤防に違和感があるのですが、これはいたしかたないとしても、どこかの誰かが図面をちゃちゃっと引いてできちゃった感が強く、新しいものができてもあまりうれしい感じもしないのでした。

それとNHKのこの番組。

“国民1人あたり25万円” 復興予算はこう使われた ~人口減少時代の災害復興~ - NHK クローズアップ現代+

新しい文化施設の計画にあたり、石巻市は当初から人口減少を見据えた建設計画を立てていたのだけれど、復興のシンボルとして立派なものにしてほしいという住民たちの要望により、規模が大きくなったとか。

これもへんな話で、あちこちのプロジェクトでさんざん住民の要望を聞くヒアリングを開いたわりには、全く住民の要望はほとんど取り入れられないまま次々といろんなものができてくる中、この文化施設だけどうして住民の要望のせいにするのか???謎です。放送を観た全国の人はそう思うのでしょうね。本当はできるだけ大きなものを作りたい土建屋さんの都合じゃないの?と勘ぐってしまいます。

3月28日には、石巻南浜津波復興祈念公園が開園しますが、この10年...とは言いませんが、私が石巻に戻ってきてからの4年の間、ちょこちょことしか工事が進まなかったのに、昨年末あたりから急にバリバリと造成工事が本格化しました。遅いって。

今年は特に寒い冬でしたが、真冬に松を植林するってどうよ...と思ったし、2月になってから公園内の歩道脇の側溝を作っていたのもみかけました。なので、全体が茶色い(しかも黄土色)公園です。生活に関わりの無い事業ということもあってか、これまたまさにやっつけ仕事。維持管理なども考えると先が思いやられます。観光客がちょっと来るとして、市民の利用はあるのか?

そんな話ばっかりです。新しいものがどんどんできるけれど、全くうれしくないのはどうしてだろうという話も聞きます。コンパクトシティもどこへやら、車優先のモータリゼーションで、車が通りすぎていくだけの場所になってしまい、たくさんの土木構築物が空っぽな感じがしています。

ともあれ...今日もTVでは震災関連の番組もいくつか放送されます。NHKの綾瀬はるか主演のドラマは、石巻のまちなか(近所)で撮影していたので、本屋さんの話でもあるし、これはちょっと楽しみにしています。

東日本大震災10年 特集ドラマ「あなたのそばで明日が笑う」 - NHK

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このページは、raizoが2021年3月 6日に書いたブログ記事です。

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