吉増剛造さんのことは、2年前のリボーン・アート・フェスティバルの時に初めて知りました。詩に関しては全く素人でしたので。最近まで、そもそも詩というものに興味が無かったのです。なんとなくかっこつけてる感じがして。
ここ1〜2年は、コロナ禍にも関わらず、吉増さんがたびたび石巻に現れようになり、近所で時々お見かけしたり、ちょっとお話しする機会もあったりして、がぜん興味がわいてきました。ちなみに、近所でお見かけしますと、どこかただものではないオーラがあり、軽自動車を運転している姿も、他の高齢ドライバーとはどこか違う。凄いです。
で、これまでいくつか詩集を読んでみましたが...難解です。でも意味はよくわからないけれど、なにかこう言葉の響きに訴えるものがあるなと思いました。それと、地名がけっこうでてくるなと。
そうこうしているうちに、先日のトークです。石巻の私たちが面白く聞いてくれるだろうなという話題でまとめて下さっていたことにも感謝でしたし、なにより生朗読の迫力に圧倒されました。GOZOショック。
石巻学ジョッキー Vol.3:吉増さんの朗読も飛び出して... - now and then
その直後に、新しい詩集(ご本人曰く、最後の詩集)『Voix』(ヴォワ)を読みました。実際手にしてみると、大判で黒地に銀の文字(ご本人筆でしょうか)がカッコイイ!大判ですので、大半の文字は大きくて、おおむね中高年にやさしい仕様。(デザイン上、小さくて読めない字もありますが...)
鮎川浜、石巻、女川、日和山...そしてコロナ禍。独特の詩は少し難しさはありますが、それでも私にはぐっと身近に感じられました。
帯にある『イ(i)の樹木(き)の君(キミ)が立って来ていた』というフレーズが、最近の吉増さんの重要フレーズなのですが、 石巻の「イ」と「キ」も連想させます。
読み終わると『HIP、HOP 日和山!』な気分になりました。
そのすぐ後に『詩とは何か』が講談社現代文庫から発売されました。吉増さんご自身が詩について考えていることを語っておられます。おそらく聞き書きと思われる文体で、吉増さんの独特のやさしい雰囲気のお話しぶりがよく現れていて、それが吉増さんのお話を直接うかがっているような気分にさせてくれました。
冒頭に申した通り、詩についてはほとんど素人ですが、私でも知っているレベルの詩人のお話もあり、吉増さんがどのようなところに共感して紹介して下さっているのかもわかり、難解なところも無いわけではないけれど、思ったよりもわかりやすく、なんだか妙に楽しくて一気に読めました。やはり詩人だけに、言葉の選び方がなにかこう違うなぁ...と。「詩」というよりは芸術とはというところもありますね。
そしてなにより、石巻市民衝撃(?)の、小川町踏切の詩も出てきます。踏切を通るたびに、吉増さんのことと「slash」を思い浮かべています。
年齢のこともありますので、鮎川までお一人で車を運転して出かけるのはちょいと心配ですが、お元気でいらっしゃるうちは、また石巻に通っていただきたいです。
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