The Three Degrees(3):2枚のPIR時代のアルバム+α

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この勢いはおそらくゴールデンウィークごろに冷めて来る予感もあるが、その前に探求結果を記録するつもりなのでしつこいが我慢していただきたい。

今回はケニー・ギャンブル&レオン・ハフ(Gamble&Huff/以下G&H)が設立したレーベル、PIR(Philadelphia International Records)時代のアルバムについて深堀する。ちなみに昨年PIRは設立50周年で、記念盤も発売されていた。

フィラデルフィア・インターナショナル・レコード - Wikipedia


どちらのアルバムも基本的にバックはMFSB(MFSB|ソウル&ファンク大辞典)の演奏で、お抱えのSigma Sound Studioでの録音。

以下は、曲名/ライター/リード自分の好きな曲には☆、特に好きな曲は☆☆。

  • リード無しでユニゾンの曲→U
  • シェイラのリード曲→S
  • ヴァレリーのリード曲→V
  • シェイラとバレリーの2人のリード曲→S&V
  • 3人のソロパートがある→S&V&F
"The Three Degrees" (Produce By Gamble&Huff) 1973
  1.  ☆ Dirty Ol' Man / Kenneth Gamble, Leon Huff / S&V
  2. ☆☆ Can't You See What You're Doing to Me Joseph B. Jefferson, Bruce Hawes / U
  3.    A Woman Needs a Good Man / Bunny Sigler, Mikki Farrow, Marvin E. Jackson / S
  4.  ☆ When Will I See You Again / Kenneth Gamble, Leon Huff / S
  5.  ☆ I Didn't Know / Bunny Sigler, Jean Lang / S&V
  6.  ☆ I Like Being a Woman / Joseph B. Jefferson, Bruce Hawes / U
  7.    If and When / Joseph B. Jefferson, Bunny Sigler/ S&V
  8. ☆☆ Year of Decision / Kenneth Gamble, Leon Huff/ V

アルバムチャート
米国 28位(R&B 33位)
英国 12位

シングルチャート
"Dirty Ol' Man"(1973)米国R&B 56位
"Year of Decision"(1974)米国R&B 74位 英国 13位
"When Will I See You Again"(1974)米国 2位 米国R&B 4位 英国 1位
"I Didn't Know"(1975)米国 18位

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"International" (Produce By Gamble&Huff, Richard Barrett) 1975
  1.    Another Heartache / Kenneth Gamble, Leon Huff / S
  2. ☆☆ Take Good Care of Yourself / Kenneth Gamble, Leon Huff / S
  3. ☆☆ Get Your Love Back / Kenneth Gamble, Leon Huff / S
  4.    Lonelier Are Fools / Joseph Jefferson, Bruce Hawes, Charles Simmons / V
  5.    Distant Lover / Marvin Gaye, Gwen Gordy Fuqua, Sandra Greene / V
  6.    Together / Kenneth Gamble, Leon Huff / S
  7. ☆☆ Long Lost Lover / Kenneth Gamble, Leon Huff, Cary Gilbert / S
  8.    Here I Am / Leon Huff, Cary Gilbert / V
  9.  ☆ TSOP (The Sound of Philadelphia) / Kenneth Gamble, Leon Huff / U
  10.  ☆ Loving Cup / Kenneth Gamble, Leon Huff, Stephanie Andrews/ S&V
  11.   ※このアルバムは国によってさらに企画モノが入っていた。

  12.  ☆ Midnight Train (細野晴臣, 松本隆) / V
  13. ☆☆ Nigai Namida (安井かずみ, 筒美京平) / S
  14.  ☆ La Chanson Populaire (Nicolas Skorsky, Jean-Pierre Bourtayre) / U
  15.    Somos Novios (It's Impossible) (Armando Manzanero, Sid Wayne) / S&V&F
  16.  ☆ 天使のささやき(When Will I See You Again 日本語版) (Kenneth Gamble, Leon Huff, 白井章生) / S

アルバムチャート
米国 POP 99位(Soul 86位)
英国 6位

シングルチャート
"TSOP (The Sound of Philadelphia)"(1974)米国 1位R&B 1位 英国22位
"Get Your Love Back"(1974)英国 34位
"Take Good Care of Yourself"(1975)米国R&B 64位 英国9位
"Long Lost Lover"(1975)英国 40位

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1枚目のアルバムはトータルでG&Hのプロデュースだったが、2枚目はG&Hのプロデュース4曲とリチャード・バレット(マネージャーのような方)のプロデュースが3曲と混在しているらしいのだが、配信データからはクレジットは分からず調査中。こういうときにモノがないとダメだなと痛感。ヤフオクで落とすかメルカリで買うか?松本隆氏曰く、G&Hプロデュースが少ないせいか、リズムの強い曲がみあたらず、日本企画の2曲のほうがかえってリズムが強調されて聴こえるのが面白い…とのこと。確かに暗い曲が多い。日本製の曲は、どちらも和製フィラデルフィアサウンドといってもいいほどで、演奏も良いミュージシャンを使っており、リズムがドスドスっと効いて
アレンジもなかなか良い。

この2曲が作られた経緯はこちらで→にがい涙 - Wikipedia
ミッドナイト・トレインのバックは細野晴臣率いるティン・パン・アレー(ティン・パン・アレー (バンド) - Wikipedia)である。

さて、いちばんリードが多いのがシェイラ。次がヴァレリー。フェイエットはほとんど無しで3人がリードの曲が1曲あるのみ。あとはユニゾン。このリードについてはまた後日深堀予定。

ともあれ、フィリーサウンドの中では他のアーティストに比べるとディグリーズは目立たないのだが、日本という極東の国でG&Hが作った曲が大ヒットして、フィリーサウンドが日本のお茶の間に登場していたということに多いに驚かされた。米国であまりパッとしなかったこと、そしてこの後の失速はマネージャーのリチャード・バレットが悪いのでは?と勘ぐっているのだが、そこもまた後日触れたい。


□関連動画□ ※動画が消滅している可能性アリ

<現状一番好きな曲>
"Get Your Love Back"
口パクバージョン(口パクながらノリノリでお気に入り)
生歌バージョン
※ヨーロッパでは観客の雰囲気に多少違和感あり。

<何度も聴くうちに味が出てきた。筒美マジック>
"にがい涙"
夜のヒットスタジオ・生歌バージョン(1975年)
NHK ビッグショー・生歌バージョン
※日本でのTV出演時。どこかで、日本語で歌わされてかわいそうだという書き込みも読んたが、私にはいたって楽しそうに見える。

"Can’t you see what you’re doing to me"
口パクバージョン(1974・オランダ)
※後半は"Dirty Ol’Man"

"I Didn't Know"
生歌バージョン
※雰囲気がヒジョーにナイトクラブ的。

"Take Good Care of Yourself"
口パクバージョン(ノルウェー)
夜のヒットスタジオ・生歌バージョン
※いつも夜ヒットでは楽しそうに歌っている。スタジオの雰囲気も良さそうだ。

"When Will I See You Again"
夜のヒットスタジオ・生歌バージョン
口パクバージョン(ノルウェー)

"天使のささやき/When Will I See You Again"(日本語バージョン)
NHKビッグショー(生歌バージョン)
※冒頭に藤村俊二&E.H.エリックのコント付き。歌詞は原曲よりこちらのほうが良いという方も。

"年下の男の子〜港のヨーコヨコハマヨコスカ付" →もちろん日本語
NHKビッグショー
※ヴァレリーにぴったり。NHKビッグショー、再放送してくれないものだろうか。

映像を見るとヨーロッパと日本での受け止め方の違いがわかる。ヨーロッパではどうもオーディエンスが上から目線だ。日本人は、たいしたもんだ〜と感心しているような雰囲気。ディスコブームに乗ったという説もあるが、案外と当時全盛の歌謡曲界との親和性も高かったのではないか。

この後は、PIRより前の時代に遡りたい。(つづく)

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このページは、raizoが2022年4月26日に書いたブログ記事です。

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