The Three Degrees(4):遡ってデビューからブレイクまで。

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The Three DegreesはPhiladelphia International Records(以下PIR)時代以前はどんなグループだったのか。

グループ結成は1963年。最初はフェイエット(15歳!)が高校の友達2人と結成し、元ドゥー・ワップ・グループのシンガーでプロデューサー&ソング・ライター、そして最後はマネージャーまでやっていたリチャード・バレット(Richard Barrett)に見いだされ、Swam Recordsから1965年にレコードデビュー。その後何度かメンバーが入れ替わって全盛期の3人になる。

グループの歴史についてはは再掲だが…
フィリー・ソウルの神髄 ー スリー・ディグリーズ
The Three Degrees - Wikipedia
The Three Degrees Biography, Songs, & Albums | AllMusic


リチャード・バレットは、50年代にシャンテルズなどのガールグループを何組か育てた人で、ディグリーズもそのつもりでやっていたらしく、PIRと契約するまではいかにもガールポップ的な歌ばかりである。

デビュー曲からしばらくの間は、フェイエットがリードで歌っているらしいのだが、特別に歌がうまいなというほどでもなく、おとなしい感じの曲ばかりだ。しかもこの頃のEPレコードの音源もApple Musicに入っているところもスゴイ。

Gee Baby ( I'm Sorry ) - 1963 - by Rechard Barrett

Do What You're Supposed To Do (1964) - by Rechard Barrett

シェイラは、初期メンバーのヘレン・スコット(Helen Scott)の高校の時の友人。1965年にリチャード・バレットがマネージャーとなり、ディグリーズと同じSwan Recordsと契約。ディグリーズに加入する前にソロで何枚かレコードを出している。その中にはGamble & HuffのLeon Huffの曲もある。その後1966年に、欠員補充でフェイエットたちに声をかけられてディグリーズに加入。

Sheira Ferguson - Heartbroken Memories - by Leon Huff & Richard Barrett

Sheira Ferguson - Sign of Love - by Leon Huff & Richard Barrett

さらにまた欠員補充でヴァレリーが1967年加入。ヴァレリーはガールポップにぴったりな歌声ということもあってか、この期は大半をヴァレリーがリードで歌っている。

その後の3年間で、バレットはWarner Bros.、Metromedia、Neptuneなどのレコードレーベルと契約したが、Neptune RecordsはG&Hが所有するレーベルだったため、このときにすでにG&Hのコンビでレコードを出している。

NeptuneでのGamble&Huffの曲、そしてTom Bellのアレンジ。これまでとは一味違ってカッコイイ。
What I See (1969) by Gamble-Huff-Bell

ディグリーズがMetromediaで出した曲

Down in the boondocks - 1969- by Rechard Barrett

Warm weather music - 1969 - by Dahrouge-Woolley

1970年にはRoulette Recordsと契約し、初めてのアルバム"Maybe"をリリース。R&Bチャートで"Maybe"が4位になるなど小ヒットが続いた。ただし…"Maybe"は、バレット氏が50年代にシャンテルズに書いた曲を歌わせたもの。

Maybe 1970

Roulette Records時代では、シェイラがリードのこの曲が気に入っている。初めて聴いたときは妙に歌謡曲的な曲だなと思った。

この頃は、ナイトクラブやラスベガスのショー(前座?)などで営業していたらしく、1971年の映画「フレンチコネクション」の冒頭で、ニューヨークのCopacabana nightclubを舞台にカメオ出演を果たす。

そして1973年、バレットはGamble & HuffのPIRと契約。Gamble & Huffのプロデュースのもと、"TSOP (The Sound of Philadelphia)"を皮切りにブレイクすることになるのであった。フェイエッとに至っては苦節10年である。

T.S.O.P 75 夜のヒットスタジオ(なぜか森進一からスタート。)

このあと、PIRから"The Three Degreesがリリースされる。Gamble & Huffのプロデュースにより、これまでのガールポップ路線とは完全決別して大人路線にチェンジ。年齢も25、6になのだから当然といえば当然だ。しかも、LPアルバムを開くと、縦に見開きで3人がシースルーのドレスを着ていて、当時の男子はさぞやドキドキしたことだろう。ただ、こういった方向性が本国アメリカでの評価が低い原因なのかもしれない。

Swan時代はフェイエット中心の若くてキュートなガールポップ、ヴァレリーが入った後のRoulette時代は、パンチのあるガールグループらしい歌声のヴァレリーが中心になり、そこに時々シェイラもリードを取るようになり、いつしかフェイエットはほぼコーラス専門。

そしてPIR移籍後は、リードはシェイラが中心になり、ルックスも含めて大人の魅力(いわゆるお色気路線?)大全開となったわけだ。

というわけで、いよいよ次回は総括して終わりにしたい。(つづく)

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YouTubeの動画もいつの間にか消滅している場合も多いが、調査の記録としてリンクを張っておく。

ガールグループ的な1960年代後半〜70年までのビデオ
"Warm weather music" 1969
"I Do Take You" 1970
"Lonely Town" 1970 ---シドニーでの撮影
"Maybe" 1970
"Your The One" 1970
※特にシェイラのダンスがやぼったい感じ。

一部上記とかぶるが1970年のTVスペシャル。かのリチャード・バレット氏も出演している。
Part1 / Part2 / Part3

踊りがこなれていないブレイク寸前の頃…(地元フィラデルフィアのTVにて)
"Dirty Ol' Man + When Will I See You Again"1974/米国Philadelphia TV

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このページは、raizoが2022年4月28日に書いたブログ記事です。

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