The Three Degrees(6):最終回〜総括。

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ディグリーズの全盛期の終わりは、(以下PIR)との契約を打ち切り、フェイエットが脱退した時期であろう。PIRとの契約をやめたのは、マネージャーのリチャード・バレットの考えではないかと推測する。GAMBLE&HUFFとうまくいかなかったのかもしれない。すでにアルバム「International」ではバレット氏のプロデュース曲も混じり、バレット氏の介入が強く感じられるからだ。

このアルバムの後、ディグリーズはCBS Sony/Epic Recordsと契約し、なんと日本のスタッフによるコンセプトアルバム”A Toast Of Love”をリリース。このアルバムの録音中に、フェイエットが脱退することになる。どうして急にフェイエットがやめたのか?


英語版のwikiには「she was sacked by the manager Richard Barrett from the group in 1976」とある。バレット氏にクビにされたということだ。

Fayette Pinkney - Wikipedia

しかし…少し前のこの記事にはもう少し詳しい記述があったのだが、最近書き換えられてしまった。Wikipedia、そしてネットの情報はこういうことが多い。不確定な情報だったからとも考えられるが、そこからコピペもしくはここからコピペしたと思われる記述がこちら。

3 Degrees of Joy
In 1976 a group member Fayette Pinkney was dating Lou Rawls, and when the manager of the group found out he was not happy about it and asked Pinkney to choose between dating Lou or the Band she chose Lou and was promptly replaced by Helen Scott.

フェイエットが、当時ディグリーズと同じPIRに所属していたルー・ロウルズ(時期的に最初の離婚の後あたりか?)とデートしていたのをバレット氏に見つかり、怒ったバレット氏が、グループを選ぶかロウルズを選ぶかどっちかにしろ、と迫って、フェイエットはロウルズを選んだのでグループをクビになった…のだ。すごい話。フェイエットも28歳。子どもじゃあるまいし、なんとも横暴は話である。

私が読んだときは、その後は結局ロウルズとも別れてソロアルバムを出し、学業の道に進んだ…という記述だったように思う。

そしてその英語版wikiを参考(直訳?)にして書いたと思われる日本語記事がこちら。

“天使のささやき”等が日本でも大ヒットしたスリー・ディグリーズの、ファイエット・ピンクニー。 | 音 個 知 親 - ON・CO・CHI・SHIN ー

いやいやとにかく交際相手がLou Rawls(ルー・ロウルズ)だということに驚いた。なにしろ昨年ディグリーズのLPを中古レコード市で買ったとき、一緒に買ったのがロウルズのアルバムだったのだ。なんたる偶然。

フェイエットは創立メンバーということもあってグループにとって要の位置にいたはずだ。すでに亡くなられているが、カウンセラーの仕事の傍らボーカルコーチの仕事も続け、教会の聖歌隊の活動など音楽とは関わり続けていたそうである。(やっぱりいい人…。)3人の中では一番控えめだが、バックで歌うことに関してもプロ意識をもっていたはず。それなのに「クビ」とは…。そしてフェイエットがいなくなる頃から、グループの勢いも失速していく。

バレット氏はやっぱりひどいヤツだったというのが私の結論だが、このPIR時代黄金期の輝きは、
彼女達にとって、楽しく良い思い出だったはずだと思いたい。

こう考えると、バレット色の薄いPIRでのファーストアルバム “The Three Degrees”がやはり一番の傑作ではないか。

GAMBLE&HUFFの曲とプロデュース、ストリングが入ったMFSBの都会的なバックサウンドが冴え、シェイラやヴァレリーのリードに、3人の力強いハーモニーがバランス良く乗っていて、間違いなくフィラデルフィア・ソウルを代表する1枚である。(あらためて聴くとアレンジも最高!)

私の中でのフィラデルフィア・ソウルは、これまではなんと言ってもOJaysやHarold Melvin & The Blue Notesだったのだけれど、これからはThe Threee Degreesも仲間入りである。特に、Harold Melvin & The Blue Notesは、楽曲に意外と似たようなところが多い。そんな聴き比べも楽しく、しばらくはフィリー・ソウルの日々になりそうだ。(完)

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このページは、raizoが2022年5月 6日に書いたブログ記事です。

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