正岡子規「仰臥漫録」:なんと石巻から贈り物が!

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最近岩波文庫で、正岡子規の『仰臥漫録』が新装版で再版されました。学生の頃に買った子規の岩波文庫たちは、本棚に何十年(?)と置いているうちに古本化しており、糸瓜の棚の子規の絵の表紙も素敵なので買うことにしました。「直筆の素描画を天然色で掲載」といううたい文句が決め手。

普段ならそのまま子規コレクション(子規ファンなので)の棚行きなのですが、久しぶりに読んでみることにしました。


この『仰臥漫録』は他の子規の随筆と違い、個人的な日記のようなものだったので、子規本人は公開するつもりがなかったそうですが、子規の死後に書籍化されたものです。

で、です。読んでいて一番驚いたのは、石巻がでてきたことです。まず明治34年9月16日。

「石巻の野老(やろう)といふ人より小包にて梨十ばかりよこす 長十郎という梨とぞ 一つくふに美味あり」

えーっ、野老って誰よ!そして次は、10月26日。

「石の巻 匏瓜(ほうか)より生鮭一尾送り来る。」

えーっ、今度は匏瓜ってまた別の人…。そして俳句の中にも

「陸前石巻より大鯛三枚氷につめて贈りこしければ」

…という前書きの後に

「三尺の鯛の生きてあり夏氷」

という句があったのでした。

少なくとも石巻から3回も、子規の大好きな食べ物が、しかも生もので贈られていました。明治時代に鯛を氷詰めにして東京まで送るとは!おそらく石巻にも俳人達がいて、子規と何らかの交流があったに違いないです。いやうれしいな。

子規棚しかし、子規が好きだとか言って今ごろこれに気付くとは…と思って子規棚をチェックしたら、どうやらこの『仰臥漫録』は読んだつもりでいて読んでいなかったことが判明。若い頃に買って読んだ岩波文庫は、すっかり古本化してカバーのパラフィン紙が茶色になり、長らく背表紙が読めない状態だったので、読んでいなかったことに全く気付いていませんでした。全部揃えたつもりだったんです。(棚に1冊古い『仰臥漫録』がありますが、これはコレクションとして古本で購入したもので読んでない。)


いやいや、この野老&匏瓜さん(おそらく俳号と思われますが)が誰なのかも気になりますが、これを機に子規も読み直そうかなと思っています。今は手持ちの串田孫一読破中なのでそれが終わったらかな。

あーっ、キーン先生の『正岡子規』も文庫になってたのか。単行本はもっているのですが、こっちも欲しくなる…。

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このページは、raizoが2022年6月 4日に書いたブログ記事です。

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