石巻・ゆずりは書房:モンキツノカメムシの姿に心を打たれる

| コメント(0)

ゆずりは書房雨が降ったりやんだりで、歩く人もほどんどいない(いや、晴れていてもいないが)石巻駅前・立町商店街。東へ進み、新内海橋手前で右のアイトピア通りへ入ってすぐ、かつて肴町と呼ばれた左側の横丁を進み、横丁右手中ほどの「ゆずりは書房」へ。自宅から徒歩10分ほどのところに、日・月の13時〜17時の間だけオープンする古書店ができたのである。といっても、もともとネット専門のプロの古本屋さんが、試みに店売りを始めたのだ。


店の前には緑の店名のぼりが静かにはためき、開店中の目印となっている。店頭には均一棚などはなく、外からは店内は見えないが、サッシの引き戸を開けると、正面に江戸〜戦前の茶色い冊子群が棚一杯に平積みになっていて、茶色い(しかも黒に近い)本がオーラを放っており、奥の帳場の店主も影になって見えないほどの存在感である。手前と窓際の平台にも茶色い本や古い紙物が並べられているのだが、絵本やレコードも同居している。壁添いにスチール本棚が10本並んでおり、店内右側には少し古めの文庫、新書が、左側には日本文学、人文社会、歴史、民俗、自然科学、郷土本、みすず的白い本が並び、床には未整理の本が横置きに何本も積み上がっている。今や東京でも、古書店街をのぞけばこの雰囲気の古書店も少なくなっているのではないか。それがこの石巻の地に誕生したのは喜ばしいことである。実は開店前に店主に探求書をお願いしていたのだが、それもさっそく見つけてくれていて、『回想の朝永振一郎』松井巻之助編(みすず書房)と合わせて計二千八百円で購入する。以前、夏葉社から出版された私家版の本で、松井巻之助のことを読んでいたので、ちょっとうれしい収穫である。聞けば、茶色い本たちにも思わぬニーズがあったりと、実店舗ならではの新しい発見もあるそうでなにより。これからは県内の古本好きを石巻まで誘引して欲しいものである。

モンキツノカメムシ購入はしなかったのだが、表紙があまりにキュートだったので撮影だけさせてもらったのが昭和16年の科学朝日「幼虫を保護するモンキツノカメムシ」。(前の持ち主のサインが入っているが)なにより幼虫を守る姿がけなげである。このところカメムシづいているなぁ。

…以上、古ツアさん風にレポートしてみました。

コメントする

アーカイブ

子規の一句

花一つ一つ虻もつ葵かな

くものす洞広告

このブログ記事について

このページは、raizoが2023年2月13日に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「これも結局予約か…Pen BOOKS『大瀧詠一に恋をして。 』」です。

次のブログ記事は「第57回Super Bowl、結果は残念だったが予想外にBabyfaceが見られて良かった。」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。