映画「ミスター・ランズベルギス」:戦車と砲弾 vs 歌と花。

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先日、自宅から歩いて5分のところにあるライブハウス、ラ・ストラーダさんで、映画「ミスター・ランズベルギス」を観てきました。

途中休憩はあるのですが、本編が248分もあって、長すぎて大丈夫かなと心配もあったのですが、なんとか調整して行くことにしました。

東京のイメージフォーラムで公開された時、ネットの記事を見て、すごそうな映画やってるなぁ…と思っていましたが、まさか石巻でこの映画をみることができるとは!


映画は1980 年後半から91年9月にかけて、リトアニアがソ連から独立するまでのドキュメンタリーです。当時のリトアニア独立運動を率いてリトアニア代表となったヴィータウタス・ランズベルギス氏(ピアニストで国立音楽院の教授)のインタビューと、当時の実際のニュース映像が交互に映されます。

小鳥のさえずりが聞えるのどかな庭で、ランズベルギスさんが、時には楽しげに「クククッ」と笑いながら当時を振り返ります。

リトアニアがソ連崩壊後に独立したバルト3国の1つであることは知っていたけれど、それ以上のことは全く知らず、これまで国として意識したこともありませんでした。ですからランズベルギスさんのことも当然知らず。

タイトルからしてランズベルギス氏が主人公のようには見えるけれども、あくまでそれはインタビューに応えて氏の目線から当時を語っているのであって、独立の主人公はあくまでリトアニア民衆だったのだ…ということが、ニューズ映像から伝わってきます。心の底から独立を願って集会に集まり、デモをし、老若男女が悲暴力の立場で自由を願う姿が次々と映し出されます。平和ボケしている私たち日本人に、同じようなことができるのだろうか…と考えながら、大きなうねりをみていました。

というわけで、前半はリトアニアが独立を宣言するまでで、比較的民主的に物事が進みましたが、後半はソ連軍の動きが活発になり、様相が一変します。

街を戦車が進む音、威嚇なんだろうとは思うけれど、脅しのための機銃の音、着弾する砲弾の爆音…。テレビのニュース映像では伝わらない轟音が、会場の大きなスピーカーで爆音再生され、ずしりと響きました。今のウクライナのこと、やはり考えちゃいますねぇ。

ソ連軍が本気で攻撃していたら、ひねりつぶされたのかもしれない。けれど、そこを最終的に平和的に切り抜けることができたことに拍手を送りたい。そしてウクライナもそうなって欲しい…と思いました。簡単にはいかないだろうけれど、力で対抗するだけでいいのかな…と。

もう1つ印象的だったのは「歌」でした。ニュース映像では、たびたび民衆が大勢で声を揃えて歌を歌う場面が登場します。リトアニアの国歌も、これまでの苦難の歴史が刻まれたような歌詞で、それもまた自由を求める気持ちが現れていました。そうだ、花束も印象的だったなぁ。市民が花束を集めて空から撒いたり、独立を決議したあとには、手に手に花束を持ち寄ったり。そこはヨーロッパらしくてステキだなぁ…と思いました。

自分が4時間持つのかどうか心配だったけれど(冒頭でちょっと居眠りしましたが、それはいつものことなので)、特に後半は、ハッピーエンドであることはわかっているのだけれど、事態急変でドキドキハラハラで、時間を忘れてしまいました。

ちょっと体力はいるけれど、観に行って良かったです!

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このページは、raizoが2023年3月10日に書いたブログ記事です。

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