Tokuzanのブログ記事 3 / 5
    
    



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アララギ第4巻第6号 その2

課題 午後三時より午後六時迄
                  茂吉 選

          湯禿山

つとめよりかへる道すがら酒にでもよみて見まくと思(も)ひて來けり





アララギ第4巻第6号 その1

此日頃
                  湯禿山

 卜居

いそのかみ年ふる寺のかたはらに杜のあるじとわれなりにけり





アララギ第4巻第5号

河中島懐古歌幷反歌

           湯禿山

今もかもくはしさやけし犀川千曲の川 ゆき合ひの河中島 ますらをがたけき其名に 岩くやす鋭心ときて 天つ火に怒る(玄隹 玄のへんにふるとり)神と 相結ぶ恨はとけず 屍をつゝみと高く 血潮はほこもただよふ あらそひや年の七とせ あたら世をかくてはけむ いにしへを嘆きもとほり かぎろひの日は傾きぬ 秋ぎりに立ちのまがひに 旗すすきほのかに伏すを 襲ひよる旗と偲はく 皷なす岸うつ波は こもりたるいくさのどよみ 耳に目に悲しまぼろし あはれあはれ(くりかえしの「く」)其のあとどころ 八幡が原





アララギ第4巻第4号

雜 詠
           湯禿山

年まけの物調ふるゆきかひのちまたのどよみ其一人われも

子期ゆきて伯牙のを琴耳なしとつるたゝまくもおもほゆるかも

朝さむみ床いでかてにいすくみて吾するいきの枕に氷れり





 鉛 筆
                     湯禿山稿
「君は相かはらず十九世紀式だなあ」
とは久しぶりに逢った友の、吾面をみるや否や冷やかした言葉だ。といつた丈では勿論何人にも明る筈はないが、其は僕の耳に挿んだ鉛筆をみてのことである。
「アゝ今更廢(よ)されもせまいじやないか」
が差向の答ではあつたが、よすともよさぬとも無意識で常に鉛筆を耳にするのである、僕を物色する言葉の中には頭の禿げたこと、顔色の蒼白いこと、耳に鉛筆の挿むであること、は必ず個條書になることだ、とは此も友の語の中にみえた言葉だ、





アララギ第4巻第3号

詠草
          湯禿山

古の驛路(うまやぢ)の宿旅人われ一人のせきの部屋にさむしも

年まねく太刀の音きかずふるさとの古き武者窓あられうつなり

逐うてうて(繰り返しの「く」)物とらへ得ぬ萎えとしも年の名殘の黄昏にけり

冬されの野末の石につかれたる心の冷を夕日あむえうも





アララギ第4巻第1号

雑詠
          湯禿山

枯尾花風もさやらずおく霜のしろきがうへにけだものゝの跡

白菊の香にしむ心うつそみのちまたのどよみしばし和めり

朝戸出のはざま山路霜さむみ肌泌むるかぜにはなひるしばしば

蟹自物おのが甲らに似する穴のあなにみにくき言の搆へよ





アララギ第3巻第9号

雜 詠
                   湯禿山

大君のみことかしこみはらからと睦まさらめやかの人の子を

大君の遠のみかどの民草と今日ゆ心も伸びてあれこそ

いくとせをつかへし胸の忽ちに秋の空とをはれし今日かも

谷川に子らが蟹とる水上よ河しかの聲ころゝなかるゝ





アララギ第3巻第8号 その2

洪水

國はらをこと〴〵(ごと)海とまがつ日の神のあらびし耳にかしこし

遠つ祖ゆ傳へし田畑非時の長雨にあはれ海となりつゝ

唯命みなことなしと友が書きし筆のあとをし見るに堪へめや

命はしからくにげつも文かゝむたどきもなくて七日過ぎつと

救はれて溺れこそせぬたらちねの母のありかも知れずとふ兒よ





アララギ第3巻第8号 その1

病床の歌(其二)    湯禿山

あかときの灯のうする我望今日もはかなくなり果てむかも

春が山のわらび肥ゆらめ程ちかくわがやどれども足なへしにて

こらがこせる文をし見れば病みこやる身もたな知らずこひまさるかも

ガラス戸ゆふと見さくれば梅雨はれの月ほの照れり五日月かも

久方の天津少女にたて琴とあさいに耳にひびくあめかも


 

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