この本の存在は知っていたのだけれど、震災本(特に地元石巻のもの)は意識して読んでいたにもかかわらず、これはずっと未読だったのですが、たまたまジュンク堂でみかけて購入しました。
とにかく副題の通り、水産高校の知られざる日常と、学校としての東日本大震災の被災状況とその後のお話。著者である先生のブログを元に作られた本だそうです。著者は国語の先生なので、水産の実習はもちろん初めてということで、さまざまな実習を見学したり体験をした様子が語られています。
とにかくです。最後に出てくる震災の時の話が云々よりも、今どきの水産高校が何をしているところなのか、実習を中心に詳しく紹介されており、とにかくそれが興味深い。
もちろん地元ですので、この高校の存在は知っていましたが、どんなことを学んでいるのかは「水産」という漠然とした業種であるというだけで、詳しいことは全く知りませんでした。なんとなく、船に乗るためや魚を獲るための勉強とその実践をしているのかな…というイメージ。
もちろん遠洋漁業の実習船でハワイまで行ったり、手漕ぎのカッターで遠出をしたり、地引き網をひいたり、トロールで魚を獲ったりもしています。
しかし他にも、卵から孵化させて育てる養殖技術の研究や、目の前の海、そして牡鹿半島の海をフィールドとして、魚やその他の海の生物を研究をしたり、食品加工の学科もある(缶詰めを作っているのは知っていました)ので、HACCPのレベルの衛生管理が整っていたり、工業系の学科ではコンピューターのプログラミングも学んでいたりと、思いのほか理科系の学校だったことがわかってびっくりしました。ちょっとした水産研究所でもありますよ。プロ意識の高い専門の先生達もカッコイイ。
私が高校の頃は、ちょっと怖いイメージ(いわゆるガクランを着ていたり、眉毛を剃って無かったり、あってもすごく細くしていたりするような校風)があったのだけれど、今どきそんなこともないようですし、まじめに自然科学が好きな子が、もっとこういう学校を目指して欲しいなと心底思いました。
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