著者は、三代に渡って三軒茶屋(太子堂)で土田刃物店を営む方。お父様が、この本の主人公「千代鶴是秀」と取引も含めて親交があり、是秀ついて調べてこられたのだそうです。
読み始めは、大工道具のこともあまりよくわかりませんし(鑿・鉋など漢字も読めなかった…)、読んでいると寝落ちしてしまうし、なかなかページが進まないので最後まで読めないかもと思っていました。
だた、頑張って読んでいるうちに、是秀さんの道具づくりへの思いが理解できてきて、読み終えてやっとじんわりと「良かったな〜」という気分になりました。改めて前に戻って「序」を読み直し、日本のものづくりの源である「大工道具」への、土田さんの想いがやっと理解できました。
是秀さんは、もともと刀鍛冶の出でしたが、明治維新によって刀の需要が減ってきたことを機に、道具鍛冶となったそうです。刀から大工道具へと作るものは変わっても、刀鍛冶職人と変わらない刃物作りの仕事ぶりが、名工と言われる所以でもあるのだなぁ。是秀さんもそのシンプルな道具たちもとてもステキです。
いつか神戸を訪れる機会があったら、是秀さんの大工道具が陳列されている「竹中大工道具館」に行ってみようと思います。
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