こじんまりしていますが、時代小説などや戦記物、鉄道本などが多く、オジサマ目線の本が並んでいます。ここでみつけたのが、KAWADE夢ムック「いしいひさいち 仁義なきお笑い」。長年のいしいひさいちファンですから、もう即買いです。表紙の、バイト君にいしいキャラがまとわりついているという絵が、期待を抱かせます!
漫画家デビュー40周年とのことですが、私は読者歴30年ぐらいかな。先日チラリと出した正岡子規の文庫本と並び、いしいひさいち氏のドーナツブックス全巻は、わが家の本棚の一番良い位置に常に並んでおります。
朝日新聞の4コマまんがとして氏が登場したときには、毎日読めるのはうれしいけれど、老若男女に氏の笑いが受け入れてもらえるのだろうかと心配したクチです。あんのじょう、読者から「わからない」と朝日新聞社に電話がかかってくるのだそうですね。くみこさんもマンガの意味がわからないって時々言っています。それが氏らしいところでもあり。
なにもかも全部が面白いってことでもないんですよね。面白さのツボに波があって、ときどき大きくツボにはまるのがなんとも楽しい。それがいしいひさいちマンガの魅力ではないかと思っています。
さてこのムック。あいかわらずご本人は一切でてきませんが、本人書き下ろしの「でっちあげロングインタビュー」でささやかな登場。いがらしみきお、しりあがり寿、とり・みき、吉田戦車、秋山りす、あずまきよひこ、宮部みゆき、村上智彦が特別寄稿。そして大友克彦氏のリスペクトインタビューもあります。大友氏はいしいひさいち氏が会った事がある数少ない漫画家の独りなのだそうです。そうか、「漫金超」つながりなんですね。
「漫金超」もマニアックな雑誌でした。これ買って読んだよ…っていうのが私と妹の自慢(誰にだよ)です。ちなみに私と妹では分担があって、事例でいいますと妹が大友克洋、私はいしいひさいちでした。
単行本未収録のマンガもありましたが、個人的には2002年の小説新潮初出の「原稿頂戴作戦 前戯なき戦い」が大爆笑でした。禁断の出版業界実名パロディ問題作…ですので、興味のあるかたはここだけでも。
他にも書評本や哲学解説本など、異色の本も出しています。「現代思想の遭難者たち」は、最初の版で読みましたが、読んでいる私が遭難しそうになるぐらい難しかったのですが、話は別として哲学者キャラが面白かったですねぇ。増補版ではさらに30ページ増えているらしいので、また読んでみたくなりました。
とにかく初の総特集といっても良いのではないでしょうか。「ののちゃん」しか知らない方も、これを読むと他のコミックスも読みたくなりますよ。そしてののちゃんの奥深さも実感できます。うむ、このムックは本当に面白かった。
ちなみに私の好きなキャラクターはですね、順位はつけられませんが…地底人、ゴキブリさんたち、銭形平次、藤原先生、広岡達三、OLの三宅さん…ってとこでしょうか。私もときには三宅さんみたいに、職場で思いっきりお客さんにお茶をこぼしてみたいような欲求にもかられます。あのぐらいの心意気でないとOLは続けられませんな。
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