ジャングルの子―幻のファユ族と育った日々 ザビーネ キューグラー Sabine Kuegler 松永 美穂 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
最近リニューアルされた朝日の書評欄は、めっきりつまらなくなったと評判ですが、酒井啓子先生(イラク問題で出てくる女性の先生です)の書評だけは密かに楽しみにしています。朝日の土曜版「be」に時々掲載されていたエッセイも、外交問題をテーマにしながらもちょっとくだけていて面白かったのです。
で、本題のこの本。もちろん未開の部族とのジャングル生活も、楽しい文書でとても面白いのですが、なにより小さな子供を連れて家族ぐるみで現地に住んでしまうキューグラー家に感服。読み進みつつ「家族」がもう1つのテーマではないのかなと感じました。夫婦・親子・兄弟...そしてファユ族との家族のような関係などなど...。
そして、かつての西洋の国々の植民地時代とは違い、西洋文化を無理に押し付けず、単なる援助とは違った対等な関係を保ちながら、現地に溶け込みかつ受け入れられていく様子に、まさにノンフィクションの面白さを感じました。文中にはほとんど出てこないけれど、この一家の行動もさることながら、このような活動を支えている人たちもたくさんいるのでしょうねぇ。いくら日本が経済大国になっても、このあたりのパワーは、まだまだ西洋の人々にはかなわないと思いました。
ということで、読後はイリアンジャヤ地方とそこに住む人々にも、ちょっぴり親近感を感じるようになりました。
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