渋谷のシアター・イメージフォーラムで、映画「ハーブ&ドロシー」を観てきました。
ニューヨークに住む公務員のご夫婦が、現代アートの作品をコツコツと集め続け、やがてその膨大なコレクションが、国立美術館にで永久保存されるほどのもの価値となります。その老夫婦のドキュメンタリーです。
最初は、マスコミで取り上げられているのを見て、「若いアーティストを発掘して、安い値段で作品を集め、そのうちに作品の評価があがり、すごいコレクションの所有者になったといううらやましいお話」というような印象もあったのですが、そんな単純なお話ではありませんでした。彼らはコレクションは絶対によそに売ったりしないのです。
現代アートを市民レベルで育ててきた美談というよりは、この夫婦のお話しだったのではないですかねぇ。アートへの情熱も、ハーブが働きながら独学で勉強し、そして実践していったことであり、まさにコレクターであることが生き甲斐なんですよねきっと。持っていることで幸せになる…、奥様のドロシーが「読んでいない本でも持っていればいいってあるでしょ」みたいな一言があったのだけれど、積ん読の多い私には特にこの部分に共感してしまったり。そして特にハーブがとってもチャーミングでした。
映画の最後には、これまでTV画面と電話のモデムでメールをしていたドロシーが、いよいよパソコンでのメールに挑戦するべく、MacBook(白モデル。2008年頃のお話のようですので。)を買いに行き、買ったばかりのMacBookで、自宅でMacBookのキーボードを叩いているところで終わるのもご愛嬌であります。その姿を見つめるハーブの表情も良かったなぁ。
国立美術館にコレクションを寄贈したのは、アメリカ国民に無料で広く見てもらいたいという願いから来るものです。さらに国立美術館に納めきれなかった作品は、全米の50州の美術館に50作品ずつ寄贈するという「Vogel 50x50」というプロジェクトが進行しており、そのドキュメンタリーもこの映画の続編として撮影されてるのだとか。このプロジェクトがどのように広がっているのか興味のあるところなので、続編も楽しみです。
そして…この映画を観た後、家人に私の積み上がった本の山を指し「本は私のコレクションだから」なんて言ってみたのですが、そんなわけないだろうと一蹴されてしまいました。
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