「昔日の客」の著者、である古書店主関口良雄さんが亡くなられた時の追悼文集の復刊なのですが、多くの文士や俳人仲間の方々の文が寄せられております。70頁あまりのものですが、故人を知らない私でも、なんだかジンとしてしまう文章多し。
最後の奥様の御礼の文章は別として、一番印象に残ったのは尾崎一雄氏の文でした。銀杏子という俳号を使っていた関口さんのことを書いているところで、イチョウの木が好きな関口さんが、「黄色い葉を拾って手帖にはさんだ彼の満足気な顔を想ひ起こす。」という下りが、なぜかことのほか胸に迫るものがありました。全く存知あげない関口さんではありますが、イチョウの葉っぱを愛でる気持ちが目に見えるように伝わってきました。
他にも関口さんのお人柄を偲ばせる文がたくさん並んでいますが、そのなかのどの方々にとっても、関口さんとの出会いは本当に大切なものだったのですね。その出会いが本当にうらやましく感じました。
「昔日の客」もお勧めですが、こちらも是非一緒にお読みくださいませ。そして夏葉社さん、またしても良い本をありがとうございました。
「昔日の客」を読んだ時の記事
now and then: 関口良雄「昔日の客」読了。
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