今日は、東京国立近代美術館フィルムセンターの企画展「小津安二郎の図像学」に行ってきました。もっと早く行きたかったのですが、風邪をひいて延び延びになっておりました。
フィルムセンターに行くのも、新しく立て替えられてから初めて。学生のころ、センターのビルが火事になる前によく行っていました。なにしろ上映作品の料金が当時かなり安かったのです。何年ぶりだろう…。
ということで、料金200円をお支払いして日本の映画の歴史をたどる常設展からスタート。ちょうど映画本(黒沢明関係)を読んでいるところでしたから、内容もタイムリー。志村喬個人から寄贈の「生きる」当時のスナップ写真や、伊藤大輔監督宛の、成瀬巳喜男、小津安二郎、山中貞雄の三監督が一言書いているハガキなど、古い映画が好きな方なら十分楽しめます。
つづいていよいよ企画展へ。のっけから、「秋刀魚の味」当時に記念に作られた、秋刀魚柄の陶器のペン置きのステキさにやられながら、特別展示「絵画の小津安二郎」コーナーで、映画の中で小道具として使われた絵画からスタートです。
続いては「描く小津安二郎」。細い線で描かれた俳画も素敵でしたが、小津が中国戦線から帰国した後に配られた戦車柄の手ぬぐいが良かっなぁ。復刻して販売して欲しいぐらいです。
「図案の小津安二郎」では、初期の作品のデザインいろいろを担当していた東京国立近代河野鷹思の作品や、小津がデザインした小道具のコースターコレクション、小津がデザインした湯飲み(椿柄のものが素敵!これも復刻して欲しいっ)に続き、なんと小津が装丁した本も並んでいました!これは古書好きにはたまりませんなぁ。とにかくセンスが良いんですよねぇ。そして写真撮影OKの「秋刀魚の味」のセット看板の再現があります。
「文字の小津安二郎」小津家の表札からスタートし、自筆の文章や葉書、映画のタイトル文字などの紹介。
「色彩の小津安二郎」自筆のシナリオや絵コンテなど。絵コンテや映画のシナリオには、人物やカットごとに色鉛筆で記号やマスを作って塗られていたりと、映画の色彩とは違った色彩に驚かされました。さすが仕事が細かい!
「小津安二郎の映画美術−濱田辰雄の仕事」濱田辰雄から寄贈された映画セットの写真がずらり並びます。
最後は特別展示で、昨年読んだ「蓼科日記」の実物を拝見することができて感激でした。小津の小振りな未公開手帳もアリ。
会場を出ると、ロビーにローアングルを試すことができる、豚カツ屋とすし屋の看板がありました。
いやぁ、楽しかった。良い展覧会でした。小津とデザイン的なところに興味のある方は是非!
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