アララギ第3巻第7号 その2
病床の歌 其一
今歳初夏聊か恙ありて長野赤十字病院に入り三週を經、其間病床の徒然に讀み出でたる歌の中に、
うつそみのかなしきになれ石くれとなりにし人か情お動かず
うつそみの世事と知りつゝしかすがに人のなぐさのうれしかりけり
大峯の山の背向に飯綱嶺もほのかにわれをなぐさもるらし
家にあらはわ子がためにも鯉のぼり立てましものを病みてやせたり
青あらしわたらふまにま久方の天雲しぬく鯉のぼりかも
瑞枝さす若葉の杜をゆきかひの人うらやまし窓によりみる
課題 澁味 純 選
やさしみの言葉のなかに何となく餘處々々しきをわれ恨みけり
湯本禿山
淺葉會
卓歸る。光癒ゆ。會する者五人。光二年振。卓一年振り。課題水草。搖。青空。(七月三十一日)
青空のはてにたゝまる雲の上に天の川星傾きにけり
湯本禿山
☆☆☆
<読めなかった漢字>
聊か(いささか)
恙(つつが)病気などの災難。わずらい。
実は、読書は好きですが国語は苦手です。
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