アララギ第6巻第7号
綠蔭
湯本禿山
この丘にわがまどろまば夢はしも玉とむずぼれ綠ならまし
なくさもるたどきを知らに母上は眠りおはすとすかしけむあはれ(挽歌二首)
かへる手のま玉あはせ拝みけむ其いたいけの面影に立つ
いづべゆくあてどなけどもたゞ西のたそがるる雲に思い殘れり
重き々々抑へに堪へずこの草のゆがみ出てたるあはれならずや
しく〱(繰り返し記号)と雨ふり出でぬ飲みさしのさ湯の温みのうらさぶしかり
ふと思ひそこにうつりて離れえず飲みさしのさ湯水となりけり
飲まゝくの湯は冷えはてゝとらへ得ぬ心のゆくへわがおのゝきぬ
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挽歌二首、「母」がこの頃までまだ生きておられたということか。
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