未来堂書店のことは、石巻に引っ越してきた当初は少しバカにしていたところもあった。ショッピングモールにある大衆的な本屋というイメージだったからだ。しかし、昨年あたりから棚の様相が変わってきた。人文の棚だけが妙に充実してきたのである。こんな宗教の本が…と思うような本、哲学系、みすず書房や白水社など、お堅い人文系の出版社の本がどんどん増えてくる。特にヨーロッパの歴史系周辺が特に充実してきた。
人文系は好みのジャンルなので、喜ばしい反面、この棚からどのぐらい売れているのだろうかと気にもなった。そんな棚を応援すべく、私が選んだのがこの本。書店で出会わなければ絶対に買わなかった種類の本である。
とにかく、馴染みのない少数民族の言語を研究している人のフィールドワークのお話。その言語を知るための本ではなく、あくまでこんな風にフィールドワークをして研究を進めているんだ…という紹介本のような本。世の中にはいろんな研究者がいるもんだ…という野次馬的観点から、そして、パキスタンやインドの山奥に、これだけ多様な民族が、それぞれの言語を持って暮らしていることに驚かされる。
しかも、やがてその言語も話者が減り、この世の中から消えゆく運命も待ち受けていて、待ったなしの研究でもある。
まさに知らない世界を垣間見る1冊となった。読書は楽しい。
(いつもと違って文語調で描いてみましたが、どうもギクシャクしますな。)
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