1981(昭和56)年開館の宮城県美術館。前川國男の建築で、素敵な建物なのですが、宮城県民会館と共に、仙台の東側に引っ越す案が浮上。美術関係者、建築関係者を中心に反対運動が起きています。もう設備も古いからということらしいですが、国立西洋美術館も、同じ前川国男の東京文化会館も、改装しつつずっと使われてきているのに、なんとも浅はかというかなんというか。議員のおっさんたちが言いそうなことです。新しいハコモノを建てたいんですよねきっと。土建屋さんたちが嬉しいプラン。
あぁ、そんな渦中ではありますが、美術館内の県民ギャラリーで藪内正幸原画展を観てきました。
やっぱり気持ちいいですよねぇ…ここは。美術館は河岸段丘の崖の上にあり、後ろは広瀬川のなので建物がありませんから空が広いのです。上野公園もやはり空が広く、ビルに邪魔されないので国立西洋美術館こんな感じですよねぇ。もう少し樹木が多いくらいかな。
今回の展示は「おはなしクローバー」という団体の自主企画。午後には藪内正幸さんの息子さんの講演もあったようですが、私は原画展だけ観ました。アフリカの動物画をテーマに、「ちーたーのロンボ」(てらむらてるお・文/藪内まさゆき・画 ポプラ社)の原画を中心に原画が並んでいました。「ちーたーのロンボ」は絶版になっているんですね…残念だなぁ。
藪内さんがイラストを書いた本なども並び、特に動物系の図鑑類が気になりました。鹿間時夫「古脊椎動物図鑑」(朝倉書店)あたりが欲しくなりました。あとて古書で買ってしまいそうです。(鹿間時夫…なんだかどこかで聞いたことがあるような…と思ったら、こけし研究家の鹿間と同一人物で驚きました。)
本館では特別展は開催されていませんでしたが、せっかくなので常設展も見学。まず入り口の陶工・河合卯之助の図案木版画がステキで感激。夏葉社さんの尾形亀之助「美しい街」に挿絵として使われた松本竣介さんの作品も何点かありましたし、バウハウスが今年100周年ということもあってか、クレーやカンディンスキーもまとまって展示され、常設展入場料300円でたっぷり楽しめました。
ミュージアムショップでは、迷った末に、大川美術館「松本竣介 読書の時間」の図録を。これがまた良かった。松本竣介の本棚を再現した写真、本の表紙、装丁を手掛けた本、絵の参考にするためのスクラップブック、そして蔵書リストまで、とにかく紙もの情報満載でした。人の本棚を眺めるのが好きなので、これはもうたまらないですよ。
外に出ると若干ポカポカしていたので、ベンチに座って一休み。やっぱりここを無くすなんてもったいないです。次の「アイヌの美しき手仕事」も行こうっと。
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