夏葉社の島田さんの別レーベル岬書店の新刊は、世田谷ピンポンズさんの自伝的エッセイ「都会なんて夢ばかり」。なんと6曲入りのCD「世田谷e.p.」がもれなく付いてきます。1,300円+税でこれはお買い得だなぁ。
世田谷ピンポンズさん、下北沢の古書ビビビさんで時々店内ライブをされていて、古書店でよくライブをやっているフォークシンガーの方というのは知っていましたが、私自身があまりフォーク系に興味が薄かったということもあり、実はほとんど曲を聴いたことがなかったのでした。ごめんなさい。
とはいえ、どんな本なのかとにかく待ちきれなかったので、買ってきて家に帰って即読み始めました。
まずは表紙のwacaさんの線画による装画がとても印象的。なんか見たことがあるような....場所は三軒茶屋だそうです。
先日ある講座で、著者は本の出だしを一番考えて書くものだという話を聞いたばかりだったのですが、この本の出だしは「もっと文学や詩を読んだほうがいい」。
これはシーンガーソングライターの先輩から言われた言葉だそうです。私とは、世代もよく聞くミュージシャンのタイプも全く違うようでしたので、果たして共感できるかなと心配も少しあったのですが、この一言でのっけからグッと感情移入できました。
こう書くと、あれ(私がよく読む)これ本の話?となりますが、ピンポンズさんは古本もお好きなのだけれど、あくまでイントロであります。ピンポンズさんがギターを手にした頃から今に至るまでのご自身を振り返ります。
時代はだいぶ違うけれど、地方から都会に出てきた時の自分の気持ちを思い返してみたり、私も下北沢に近いところに住んでいたし、ときにはバスときには歩いて三軒茶屋にも行ったし、井の頭公園も職場のようなものだったし、いろいろ懐かしんで読みました。そこはもうちょっと若い人たちとは違う読み方だったかな。
そうこうしながら、ピンポンズさんがバイトやバンド活動を続け、やがてフォークシンガーとして独り立ちしていく過程が静かに進んで行きます。じわじわとしみるような感じ。これはピンポンズさんの曲の中に入っているような感覚なのかな。
どこかでどなたがが言っていたのですが、読み終わった後にもしくは最後のほうの章を読むあたりから付属のCDを聞くとすごくイイです。私は長いエンドロールを見ているような気持ちになりました。ちなみにどれも三軒茶屋舞台の曲で、この本ともクロスしているので、曲だけ聞く・本だけ読む...では威力半減。やはりこれはセットで楽しむべきものですね。
今日は車の中で運転中に一人で聴いてみました。いつもの道なんだけれど、ちょっとドラマの中にいるような不思議な感じがしました。
若い人たちがこの本を読むとどんな感想をもつのでしょう。聞いてみたいです。
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