京都の古書店「善行堂」さんより、京都の小さな出版社灯光舎さんからこのほど出版された、<灯光舎 本のともしび> 第1弾 寺田寅彦/中谷宇吉郎 著「どんぐり」が届きました。
オレンジ色の素敵な装丁で、もうそれだけでテンションがあがります。
もともと寺田本・中谷本と称して、お二人の著書は古本で集めていました。科学者エッセイは好きなジャンルで、他にも朝永振一郎もコレクション(と言うほどでもないですが、古本屋さんで見つければ買います)の対象です。なかでも寺田寅彦が一番です。の「どんぐり」も、随筆集で以前読みましたが、久しぶりに読み返すことになりました。
以前読んだ時にも、素敵な文章だなと思ったのですが、あらためてそれを実感。さらに、中谷宇吉郎の「『団栗』のことなど」で、さらに寺田の「団栗」を味わった上に、中谷の文の両方を楽しめて2度美味しいという一編。そしてその2つの間には、寺田の「コーヒー哲学序説」というコーヒーエッセイが挟まっています。
その「コーヒー哲学序説」では、「牛乳に入れるための砂糖の壺から随時に歯ブラシの柄などでしゃくい出しては生の砂糖を食べて菓子の代用にしたものである。」というくだりがあり、最近別の本で読んで知った寺田のかなりの甘党ぶりがうかがえてニンマリしました。
以上の3つの短編しか入っていないけど、それが故にさらっと読めますし、しかも何度も読み返したくなる造本です。
この本は「灯光舎 本のともしび」第1弾だそうです。「小品」をコンセプトに、京都の古書善行堂店主・山本善行さんが撰者として関わられるとのことで、これからの刊行が楽しみです。
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