信陽堂さんからの永井宏さんの著書復刊第2弾「雲ができるまで」を読みました。「愉快のしるし」と対になる素敵な装幀です。
永井さんが実際に葉山で運営していた、サンライト・ギャラリーを巡る人々をモチーフにした短編集です。エッセイのような小説のような、でもきっとこういう人たちがまわりにいたんだろうなという、いろんな人のそれぞれの小さなストーリーが印象的でした。
ギャラリーのあった葉山は、昔から別荘地だったりして、他の田舎町とちょいと違うわけですが、それでも東京に比べたら刺激の少ないのんびりした生活(悪く言えば何もなくて退屈)という点では、葉山みたいにおしゃれではないけれど、地方は大なり小なりそうかもしれないなぁ…と思いながら読んでいました。人と人との関わりの濃さとか。
都会から移り住んで来た人、生まれ故郷に戻ってきた人、スケッチする人、カフェをやってみたい人、花屋さんをやりたい人、クマを作る人、プリントゴッコでポストカードを作る人…。成功した人の話という訳でもない。何かしら一歩踏み出した人たち。そうそう、楽しいことを見つけるには、自分で少し踏み出すことも必要かもしれない。
何かやってみようとするときに、都会よりも地方の方が敷居が低いかもしれないなと感じてます。人口が少ない分、ライバルも少ない。お金もあんまりかからない。身近に足りないものはたくさんあって、無いなら自分でやっちゃえ…と挑戦しやすいかもしれない。人がいないからあまり儲かりはしないですが。
…などと、ほかにも自分の今の生活や周りの人たちに重ねながら、なんやかんや考えさせられました。そして、永井さんが後ろで「楽しんで暮らそうよ」と言ってくれているみたいな本でした。
これからまた暑い日々が戻ってきそうなので、少し涼みながらの夏の読書にいいですよ。今回もぜひ葉山気分でどうぞ。
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