White Light/Black Rain: Destruction of Hiroshima 2007-08-07 by G-Tools |
公式サイト→ヒロシマナガサキ
岩波ホールは久しぶり。客層は7割がオバサマ、2割5分がオジサマ、のこりの5分が若者といった年齢構成です。もう少し若い人に興味をもってもらいたいですね。
案の定、映画の冒頭で、東京の街中で1945年の8月6日は何の日かを若者たちに聞いて回るのですが、知らない子が多くてびっくり...というより情けない気持ちになりました。特にそういう返答をあえて選んではいると思うのですが、それにしても現実として知らない子のほうが多いのだと思います。すっかり平和ボケしてますな。
どちらかというとアメリカ人からの視点で、当時の記録フィルムを交えて淡々と事実を語っていく内容になっています。今まで、比較的積極的に10フィート映画や、毎夏放送されるNHKのドキュメンタリー番組などを見ていて、今回の内容が特別に目新しかったというわけではなかったと思います。しかし、これが地上波ではないにしろ、アメリカのケーブルテレビで何度も放映されるということが画期的なことであり、大きな進歩だと思いました。アメリカ人に反省してもらいたいということではなく、もっと多くの人に事実を知ってもらいたい思っていました。
映画の中では、米国が原爆の被爆記録として残したカラーフィルムも使われています。被爆直後の当時の研究室で、被爆者達が悲惨な傷跡を露出させ、それが淡々と記録されています。場内のオバサマ達は、その悲惨な傷跡(傷とは言えないけれど...何といえばいいのでしょう)に「あららぁ縲怐vと何度も声をあげていましたが、私はその淡々とした雰囲気が、単なる研究の対象として見る研究的視点に感じられ、そちらのほうがよっぽどひどいよ...思いました。(これについてはこの夏も、小さく報道されていました。)
原爆を落としたことも、戦後の被爆調査にしても、アメリカのごく一部の人たちがやったことではあるのだけれど、その行為と「原爆投下は正しかった」説を国民に教育しているあたりに、「国家」の情報操作が感じられてどうもうさんくさい。しかし、そんな中で、映画としては公開できなかったこのドキュメンタリーが、晴れてTV放映できることになったということは、アメリカにも表現の自由は残されていたのだ(?)...とホッとしたのでした。
しかしなんといっても、登場した被爆者の方々が今もその苦しみから開放されていないこと、そしてその言葉の1つ1つが、最も重く感じられる90分でありました。
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