養老 孟司, 池田 清彦, 奥本 大三郎, 手塚 治虫, 茂木 健一郎, 池上 高志, アーサー・ビナード
中身は昆虫文芸ではなく虫屋の話であります。「ユリイカ」の増刊なので当然ではありますが、「文学界」や「群像」などの文芸誌のコーナーにこの増刊号が並んでいるのを見ると、ちょっと違和感もあります。これを買うのは、ふだん文芸誌などは読まないヒトが大半だろうなぁ...と思ったり。
文学的な話もありますが、科学系なグラフや表もでてきます。読んでいて難しい...と思うような専門的な話もあるし、虫ファンとして共感できる虫話も多数。手塚治虫少年の昆虫研究ノートもカラーで掲載。
この手の本では、筆者のかつての昆虫体験が登場することが多いので、読んでいると自分の昆虫原体験が頭の中にクルクルと巡ります。私はもう完全にトンボ捕りです。毎秋、本当に空一杯につながりトンボが飛んでいく様子は忘れられません。実は捕虫網を持っていなかったので、捕虫網での昆虫採集の思い出はほとんどありません。トンボはいつも手で捕りました。秋になると家の西向きのブロック塀一杯にトンボが止まるので、そこが一番のポイントでした。毎年虫かご一杯にワシャワシャするまで捕りましたねぇ。
結局私は、学術的に追求するわけでもなく、中途半端な単なるムシ好きになってしまいましたが、今思うともう少しまじめに取り組んでも良かったかも...と思うこともあり、たとえ本業ではなくても活動にいそしんでいる虫屋さんたちを、なんとなくうらやましく思ったりします。
そして、巻末の必読昆虫入門/専門書ブックガイドを読むと、またムシ本が欲しくなります。最近は良い図鑑が分野ごとに出版されていますねぇ。個人的にはこのところ甲虫に興味があるので、オサムシの本を読んでみようかと思っています。
※奥本大三郎先生の「虫の宇宙誌」。単行本が発行元品切れとして紹介されていましたが、文庫になったから復刊されないのではないでしょうか。
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