いつも楽しみにしている夏葉社さんの新刊。今回は同時の2冊刊行ですが、全く違うタイプの2冊であります。今回も下北沢の古書ビビビさんから、そして初めて通販で購入させていただきました。
最初に読んだのは『東京の編集者』。山高登さんは木版画家であり、元新潮社の編集者だそうで、私はこれまで存じ上げない方でしした。(ごめんなさい!)
山高さんが撮りためていた昭和30年代の東京のモノクロ写真と、山高さんの生い立ちから編集者時代のお話を、夏葉社の島田さんが聞き書きしてできた本です。
この書き起こしの文がなんとも穏やかで、きっと山高さんの語り口と、そしてそれを書き残そうとしている島田さんの熱意によるものなのではないでしょうか。モノクロの写真も本当にイイです。
本の最後には、山高さんの木版画蔵書票も掲載されています。素敵な蔵書票。私も作ってもらいたいぐらいです。木版画もいいですね。
次に読んだのが三品輝起さんの『すべての雑貨』です。三品さんは、西荻窪でFALLという雑貨屋さんを営んでいる方だそうです。西荻窪には行ったことはあるのですが、こちらのお店は知らなかった…。行っていたら絶対に何か買ってしまっていただろうと思うようなお店ですね。
私もどちらかというと雑貨は好きですから、タイトルから想像して素敵な雑貨が紹介されているのだろうか…と思っていたのですがさにあらず。雑貨を哲学しているような文章に、正直言いまして大変驚きました。
本の中に『「雑貨世界」について考えなくてはいけない』というフレーズがあるのですが、その思考がそのまま文章になっている感じです。軽い気持ちで読み始めると、意外と難解です!
ただ、最後の方に出てくる「レゴ」にまつわるエピソードが、それまでの雑貨世界のお話とはちょっと毛色が違っていて、レゴ好きとしては少しニヤリとしながら読ませていただきました。子供の頃にかなりレゴに入れ込んだというところから始まるお話です。レゴに熱中していた少年時代が、きっと今の雑貨屋さんにつながっているのではないでしょうか。そう思います。
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