私は歌舞伎を除くと演劇というものはほとんど観たことがありません。今までほんの数回です。以前は下北沢のすぐ近くに住んでいたのに、とうとう最後まで劇場に足を運ぶことは1度もありませんでした。
ここ数年、石巻では毎年演劇祭が行われ、徐々に演劇が盛んになってきています。そんな流れもあって、唐十郎の唐組の公演「ジャガーの眼」が、昨日・今日の2日間、石巻の中瀬公園で行われることになり、日頃演劇にはあまり縁のない私も、思い切って行ってみることにしました。
名物の紅テントは、劇団員の皆さん自らが組み上げたもの。写真は本日16日のものですが、昨日15日は雨に加えて風が吹いていました。「大雨洪水警報等の避難勧告がでない限り、雨天決行」とは聞いていましたので、もちろん決行です。
会場は旧北上川に浮かぶ中瀬公園。石ノ森萬画館のウラにある広場です。自宅から徒歩10分。(といっても以前は下北沢まで徒歩15分でしたけど。)雨の中、運動会テントでカッパを着た劇団員の方の受付、案内で紅テントの中へ入ります。テントで演劇を観るのはもちろん初体験。中は桟敷ですが、すでに人がいっぱい。私は後ろの方に座りました。
日中、終日頭が疲れる仕事だったので、疲れて途中で寝てしまうのではと心配していましたが、初めから最後まで、メリハリのある演技の役者さんたちの熱気あふれる演技が続き、もちろん寝ている暇などなく、唐さん作の不思議で哲学的なストーリーを体験させていただきました。いやーとにかく鉄砲玉のように出てくるセリフが凄かったー。
演目が始まると、外の風雨が強まってきて、テントが時折バタバタと音を立てて揺れたり、たまった水がバサーっと落ちる音が聞こえたり、テントの外の状況もかなりワイルド。テント全体が揺れる強風はちょっと怖くもありましたし、私が座っていた後ろの方は、テントの隙間から風が吹き込んで寒く、本当はクッションがわりにするつもりだったブランケットが役に立ちました。でもやっぱり内心風が怖かったなぁ。観劇しながらもテントが吹き飛んだらどうなるんだろうと想像したり。
後から聞いたところによると、公演中、外にあった運動会テントなどは吹き飛ばされんばかりで、あれだけの風の中での公演は最近はあまりなかったそうです。石巻は風も名物、しかも特に川は風が強いですから。強風の中の公演は石巻らしいといえばらしかったかもしれません。
ラストシーンは、舞台のバックのテントが開いて、主人公たちが風雨の中、外の景色の中に去って行くのですが、バックに(暗闇ですが)川の向こう岸の町並みと日和山が見えまして、その光景がなんだかとても心に残りました。
カーテンコールが終わり、外の風雨が気になったので、早く帰るべく急いでテントの外に。案の定風が強く、川のあたりは傘もさせないくらいの強風でしたので、公演で上気した気分のまま傘もささずに走って家路に着きました。そこまでが全部観劇体験だったような夜でした。
同じ演目を東京の花園神社で観ていたら、こういう気持ちにはならなかったかもしれません。石巻で見ることができて、ホントに良かった。唐組の皆さん、関係者の皆さん、ありがとうございました。ぜひまた来てください!
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