まずつかみで...人間がサバンナで狩猟と採集によって暮らしていたころから現在まで1万年ほどの間、人間の脳はほとんど変化していないから、現代社会を生きる上ではミスマッチが起きている...という説明で納得です。これでなんとなく信用できるかも、という気持ちになりました。
精神科の医師として、科学的根拠を示しながらの話であり、変に煽ったりもしていないので、1つ1つに納得がいきました。
生きるためには、ネガティブな感情が最優先であること。何か起きるかもしれないという脅威が不安となること。人間が、ストレスに強い人が必ず生き残ることができたわけではなかった(昔の話ですよ)というところから、不安を持つことによって危険や争いを避け、感染症にかかったり餓死しないということも大切だったこと。不安やうつも生存率を左右していたということです。
うつになることには、生きるための防御としての反応でもあると。コロナ的観点から言うと、不安を覚え、うつになり、それがさらにひきこもりを起こし、活動しないことによって、感染症への防御にもなっているという説も、なんだか説得力がありました。
でもここまではスマホとはあんまり関係ないですね。それは本の後半で出てきます。
パソコンやスマホをいじると、ドーパミンが放出されるのだそうです。ドーパミンは「もしかしたら」という期待の衝動をひきおこすもので、脳の報酬システム(快感を感じさせる脳内システム)が作動するのだそうです。
これは、かつての人間が、生きていく上で新しい場所や環境を見つけた時と同じなのだそうですが、ある種のアプリは、このシステムを直撃し、依存性を最大限引き起こすように作られていると考えられる...と。びっくりというよりは、やっぱりそうだよね...という感じです。ほかには、睡眠や子どもへの影響などが、そして最後に筆者からの「デジタル時代のアドバイス」があります。
なるほど!がたくさんあります。
不安や気分の落ち込みは、人生において自然なことであって、これが私たちがこれまで生き延びてきたのを助けてきたのだとか。それがわかっただけでも読んだかいがありました。
スマホ脳が云々というよりも、日頃ストレスや不安を感じている方にこそおすすめしたいです。
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