このところ、こちらも毎年恒例になってきております。月刊「みすず」の読書アンケート特集を、今年は神保町の岩波ブックセンター信山社で買ってきました。
「みすず」ということもあり、正直言いまして登場する本の9割以上はとうてい自分は読まないだろう、という堅いものが多いのですが、それでも眺めているだけでも楽しく、なにやら難しい書名が並んでいてもとにかく全部目を通すことにしてます。
私が昨年選んだ3冊のうち2冊(「蓼科日記抄」と「漁業と震災」)が登場していまして、少しうれしくなりました。
2013年私の「この3冊」:ベストワンは「蓼科日記 抄」。 - now and then
「漁業と震災」を選んだ小松美彦氏のコメントに感心してしまったので全文引用します。
原発震災によって顕在化した日本の漁業の歴史と実情を問い、惨事便乗資本主義、グローバルスタンダード、ネオリベラリズム、大規模効率化、TPP、これらすべてに「否」を唱えつつ、実証的な検証に基づいて再生の方位を考究した。全体に底流する著者の願い、すなわち「多様な個性を備えた人間の尊厳」と「地域ごと個人ごとにある「経済・文化・環境」により形成されてきた人格」の復権は、人文・社会科学一般にも通底するはずのものであろう。このように文書をまとめてみたいものですが…私には無理でしょう。
その他、私が読んだ本の中で登場していたのは「立花隆の書棚」(とにかく棚とその写真が凄かった)「里山資本主義 」(個人的にはあまりピンと来なかった…)「博物学の時間: 大自然に学ぶサイエンス」(かなりダニ学には偏っていましたが…個人的にはGood)など。
積ん読の山にある本も登場し、やはり早く読まなくてはと思い直したり、欲しいものリストの中に入ったままになっていたものもいくつかあり、背中を押されて買うつもりになったりしています。たとえばこちら。
一番気になったのは、高額な大作ながら複数の方(少なくとも4人)が選んでいた、四方田犬彦の「ルイス・ブニュエル」。5,000円もして分厚いのですが、古書店で少し安く見つけたら…などと思ったりしています。
ただ、今回残念だったのは、昆虫本の大家である小西正泰さんが昨夏亡くなられ、この号への登場がかなわなかったことです。小西さんの推薦する自然科学系の本を、毎回一番楽しみにしていました。理系の本読みとしては、今後小西さんに続く方が現れてくれることを祈るばかりです。
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