夏葉社さんの新刊「庄野潤三の本 山の上の家」を読了。今回も下北沢の古書ビビビ(@binbinstory)さんより通信販売にて購入です。今回は庄野潤三さんの作家案内的な本。
表紙は庄野さんの涼しげな書斎の写真で、とても夏らしい雰囲気ですね。写真では音がないけれど、きっと今ごろは蝉時雨ではないのかなと思いました。
この山の上の家、小田急線の生田の駅が最寄り駅だそうですが、私も数年間、お隣の向ヶ丘遊園駅に住んでいたことがありました。生田の駅は急行が止まらないので、当時はかなりのんびりした感じの駅だったように記憶しています。
巻頭では、その山の上の家がカラー写真でたくさん紹介されておりまして、緑いっぱいのお庭、本がたくさん並ぶ書斎などをを拝見。やはり本棚に置かれた本が気になりますね。
内容は、庄野さんのエッセイ・スケッチ・庄野さんの作品と人に寄せる文、単行本未収録の小説、そして全著作案内などです。
私が庄野潤三さんの作品を読んだのは、夏葉社さんの本がきっかけでした。
庄野潤三「親子の時間」〜なんとも素敵なご家族! - now and then
この本は、タイトル通り親子の話を中心に編まれたものでしたし、庄野さん自身のことは私もあまりわからないままできていました。でも、今回の本に収録された「青葉の笛」は、戦争中に人間魚雷に乗り込む寸前の終戦間際の時期のお話で、そんな体験もされていたことに驚くとともに、小説の中にも小説家の島尾敏雄さん(がモデルと思われる登場人物)が登場し、島尾さんとも交流が深かったことにも驚きました。作風はまったく真逆ですよね…。
なにげない日常の中のしあわせな生活や生きる喜びが綴られ、さらに読む側にも喜びを与える庄野さんの小説。戦後長い時間をかけて生み出し続けることができたのは、戦争の体験があってこそだったのかもしれませんね。
「親子の時間」を読んだ後、古本屋さんで庄野さんの本を見つけるとちょこちょこ買っていましたので、引っ張り出してみたら結構ありました。まずはある本を読まねば。地元の図書館でも何冊かあるようでしたので、機会があれば執筆年順に読んでみたいところです。
夏葉社さんのサイトによりますと、今回のこの本は、この山の上の家が年2回一般開放されることにあわせて作られたものだそうです。慣れ親しんだ小田急線に乗っていつか行ってみたいなぁ。
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