映画「硫黄島からの手紙」

「硫黄島からの手紙」を渋谷シネセゾンで観賞。
父親たちの星条旗 | 硫黄島からの手紙

久々にシネセゾンに行きましたが、人気作品だからなのか指定席制になっていて驚きました。平日昼間に行ったこともありますが、客層は圧倒的に高齢者多数。ご夫婦も多かったのですが、老年の男性二人連れなど、通常は見られない組み合わせも見かけられました。この客層には指定席制は難しそうで、窓口や場内で多少混乱も見られました。土日は仕方ないとして、平日は自由席でも良かったかもしれません。

「父親たちの星条旗 」はすでに見ています。プライベートライアンをを上回る...という評判の、壮絶な硫黄島の戦闘シーンでは、爆音の中でなぜか寝てしまいました。どうも私はこの手の戦闘シーンは苦手です。見終わって、何が言いたかったのだろう...と漠然と考えさせられました。反戦映画であることは確かだと思うのですが。ただ単に「むなしい」というだけでは言い切れないものも感じます。そして淡々と話が進行していく様子が印象に残りました。

この淡々とした話の進行は「硫黄島からの手紙」でも同様でした。全編ほとんど日本語で、日本映画かと錯覚するような雰囲気でしたが、ところどころ見られる演出が微妙に日本的ではないことと、軍隊の外の時代考証だけが少しズレていて違和感を感じました。民間人はほとんどみんな着物を着ていますし、家も妙に古めかしい家が多く、昭和初期というよりは明治時代のようでした。ここはアメリカでの撮影だから仕方ないのかな。

お話は、硫黄島での玉砕戦の指揮をとった栗林中将の戦い振りを中心としたもの。優秀な指揮官もやっぱりいたんだな...というのが第1の印象です。戦後、情けない行動を取った指揮官の話も少なからずありますが、あの状況であれだけアメリカ軍に抵抗した指揮官が、どんな人物だったのか、戦後61年にして光があたることとなりました。

そして、二宮君演ずるところの一兵卒西郷は、描かれ方は妙に現代的ではありましたが、正直な人間の気持ちが現れていて、戦争を知らない私たちには共感がもてます...が、実際に戦争に行かれた方は、どのような感想をおもちなのでしょうか。聞いてみたいような気もします。しかし二宮君!想像以上に良い演技で、アカデミー助演男優賞を取らせてあげたいくらいです。

両作品とも、淡々とした雰囲気であるが故か、これまでのイーストウッドの映画に比べ、見終わった後のズシンとくる重い感じは、意外にも少なかったと思います。最後の二宮君(西郷ですね)の抵抗も、決して壮絶なものではありません。現実の悲劇に比べれば、映画の世界はやはり作り事...そんなことも言いたかったのではないのでしょうか。普通ならば、クライマックスでは高揚感をあおるのがアメリカ映画。そういった意味でも、今までにない、希有な戦争映画であると思いました。

ちなみに同行者の採点は40点。単なる戦争映画だった...ということで、ドラマとして面白くなかったようです。(私はもっと評価は高かったですよ。)

<参考>ピーノの独り言/ウェブリブログで紹介されていた、実際に硫黄島に行かれた方の日記。貴重な記録を公開されていらっしゃいます。 → 祖父の硫黄島戦闘体験記

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このページは、raizoが2006年12月23日に書いたブログ記事です。

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