新書『謎解き広重「江戸百」』

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4087203891謎解き広重「江戸百」
原信田 実
集英社 2007-04

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私にとっては久々の面白い新書でした。広重が亡くなる直前まで発行された「名所江戸百景」という有名な江戸の名所浮世絵シリーズは、単なる名所絵ではなく、背景に当時話題の事件などが隠されている...という著者の新説を踏まえた解説本であります。

広重がこのシリーズを描き始めたのは、安政の大地震による江戸の街の消失がきっかけだったという話や、版元の企画力、発禁を恐れての幕府の取り締まり対策...など、当時の背景から始まり、あとは1つ1つの図版を解説していく形です。(紹介されるのは120点のうちの3分の1程度です)

有名な絵もたくさんありますが、ゴッホが模写した梅林の絵などに代表される、近景と遠景の構図も、多用されていることもあらためて認識し、その構図の大胆さにもすっかり脱帽です。1つ1つの解説文を読み、図版を隅々まで眺めていると、当時の江戸の町並みや生活の様子が浮かんでくるようで、頭の中で江戸への思いをいろいろと巡らせながら読了。ちょっぴり江戸の坂道歩きにも通じるところもあります。

巻末には、小さいながらも全120点の図版が一挙掲載され、それぞれの絵に描かれた場所の地図もついています。こうなってくると、もっと大きな図版で...いや、さらに本物の「名所江戸百景」を、じっくり見てみたくなりました。

※この本の中でも紹介されていた「江戸百」の復刻版を作るお話。版木があるだけでは不十分で、高度な刷りの技術が必要なんだそうです。

4753802078浮世絵「名所江戸百景」復刻物語
東京伝統木版画工芸協会 小林 忠
芸艸堂 2005-03

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このページは、raizoが2007年5月16日に書いたブログ記事です。

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