PLUTO 8 (ビッグコミックス) 浦沢 直樹 小学館 2009-06-30 by G-Tools |
今までの7巻分のゆっくりした話の進み具合から一転、アトムが復活してからたった1巻でラストまで行ってしまうのは、少し性急すぎやしませんか?いや、次々と襲われるロボット達の1つ1つの物語をクローズアップしていくことが、あえて必要だったということでしょうか。
原作のアトムは改造してもらって、力がですぎちゃってビューンと飛んで行ってしまったりで、完全に調子が狂ってしまったりするわけですが、浦沢アトムはあくまで行儀が良い。ウランちゃんも、大切な役回りではありましたが、最後まで思っていたほど(おにいちゃんの代わりに戦いにいく...など)のものではなく少し残念。そして最後にやっと全貌が現れたプルートゥの存在感は、ちょっと顔(?)に違和感あり、。いやあまり手塚版と比べてはいけないのかもしれません。
いろいろと不満を述べつつも、ところどころで涙腺を刺激(歳をとっただけ?)されました。まずは、ゲジヒトの奥様と会ったアトムが、ドドドドっと空へ飛び立つシーンで妙に涙が出てきそうになりました。その後、何度か「ドドドド」っと飛び立つシーンが出てくるのですが、その度にジーン。派手に飛び立つシーンを見たのは初めてだったような気もし、おぉ縲怩チという感動も入っていたのかもしれません。そしてネタバレになるのであまり触れませんが、サイトのアトムとプルートゥの戦いからラストにかけて...なんだかんだ言って、結局ウルっときました。面白かったです。楽しませていただきました。
実は、直前に映画のターミネーター4を見たばかり。人間対マシーン、人間だと思いこんでいる機械、最終的に自己犠牲という結末となるところなど、映画を観た時は感じなかったのですが、今回こちらを読んでいて共通したものを感じました。手塚はこれを40年以上も前に描いていた訳ですから、やっぱり天才であったのだと思いました。
その手塚治虫にあえて挑戦した浦沢直樹もやっぱりスゴイ。手塚版とは違う、人間とロボットの心を感じることができたと思います。そして...あらためて手塚作品を振り返る良い機会にもなりました。さて、もう一度「地上最大のロボット」を読みますか...。
鉄腕アトム (13) (手塚治虫漫画全集 (233)) 手塚 治虫 講談社 2000 by G-Tools |
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