東京国立近代美術館「ウィリアム・ケントリッジ展」

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R0014177Twitterで知って、アバターよりもすごい映像体験だと評判の高い、東京国立近代美術館の「ウィリアム・ケントリッジ展」に行ってきました。(東京国立博物館でチラシをもらい、それについていた割引券を利用して一般800円也。)

展覧会情報ウィリアム・ケントリッジ 歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた……

ウィリアム・ケントリッジというヒトについては、全く予備知識無しでしたが、南アフリカのアーティストなのだそうです。いわゆるビデオインスタレーションが中心の作品展であります。

ポスターなどの絵を見る限りは、特別なものではないのですが、これが動くとスゴイ。特に初期の作品は、木炭とパステルを使い、書いたり消したりしながらコマ撮りで作られたアニメーションです。その製作過程を想像しただけで驚きです。

まず入り口に、小さなテレビサイズの木炭画と実写の合成アニメーション。へー、こんなのか...と奥へ進むといくつかの素描などが並んでいます。その先にはスタッフが待ち構えていて、パナソニック製のインカムを渡され、映像作品のスクリーンにある番号を同じチャンネルに合わせて、ヘッドセットで音声を聞くこと、全部観ると1時間以上かかること...などの説明を受けました。これが「プロジェクションのための9つのドローイング」という作品群でした。

もちろん受け取って先に進みます。薄暗い室内に5つのスクリーンがあり、いくつかベンチもありました。1つの部屋で、観客が思い思いにそれぞれのスクリーンを静かに眺めています。その様子そのものもアートといった雰囲気です。

通常、ビデオインスタレーションは途中で飽きてしまって、最後まで観ないことが多いのですが、全部最初から最後までしっかり見せていただきました。うむむ、アニメーションとしても、作品としても良かったです!南アフリカのアーティストということで、アパルトヘイトや鉱山などもテーマの1つになっています。そして、これらの映像作品を1つの部屋で一度に見せる...というのも、今回の日本での展示で初めて試みられたそうです。

全部見終わって、うむむ...のまま外に出ると、またいくつか素描などが並んでいましたが、その中に「薬棚」という小さな映像作品がありました。小さな壁掛けの薬箱の中で、木炭アニメーションが動いている素敵な作品でありました。いいなぁ...これ。

続いて、影絵が行進している作品や、戦争シーンを暗示しているような作品、そして立体に見える作品などの先に、またいくつかの作品が同時に写っている大きな部屋がありました。ここはケントリッジ自身も出演する楽しげな作品多し。

その先は、円筒に写して眺めるアートのあとに、今度はその円筒に木炭アニメーションが写ってぐるぐる回る「やがて来るもの(それはすでに来た)」これも良かったですねぇ。クルクル回る作品のテーブルを、数名が囲んでじっと眺めていたのですが、それもまた不思議な感じがしました。

最後の部屋は、なぜか「スターリン」などの旧ソ連の問題がからまっているようで、少し難解だったので、ここだけは早めに切り上げて全て終了です。

全部じっくりみようと思ったら、3時間はかかりますね。恥ずかしながら、私は途中でお手洗いに行きたくなり、特別に再入場券をもらって一度会場の外に出たりしたぐらいです。

ここ数年で一番印象に残る美術展でしたので、重かったけれど、図録も買って帰りました。副題の「歩きながら歴史を考える」とは、ケントリッジ氏が、ドローイングとカメラの間を、コマ撮りのために何度も何度も行き来し、そして考えていたということを意味していたのですね。納得しました。

会期は2月14日までですので、興味のある方は是非是非!!!

 

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このページは、raizoが2010年2月 1日に書いたブログ記事です。

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