田中康弘「マタギ 矛盾なき労働と食文化」

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マタギ 矛盾なき労働と食文化マタギ 矛盾なき労働と食文化

エイ出版社 2009-03-25
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1年近くamazonのウィッシュリストに入れっぱなしだった本。やっと購入しました。

本のタイトルの印象から、文化人類学的な難しい本を想像していたのですが、カラー写真満載のわかりやすい内容でした。

もう最初から捕れたクマの解体作業のお話からスタート。クマがどんどんお肉になっていく様子が、段階的に写真付きで解説されています。カメラマンの方が、現代のマタギの皆さんと一緒に行動しながら体験取材をしてできた本です。

本の中では、ツキノワグマ猟、ウサギ猟、スコップを使った川での漁、マイタケ狩りなど、マタギの知恵を生かした実際の猟と、それを食べるところまでが紹介されています。欧米の楽しみのために行うハンティングと違い、生きるための猟として行われてきた訳ですが、この飽食の時代にあっては、どんどんマタギ文化も失われているようで、あと20年もすればマタギもいなくなってしまうのだとか。都会からひょっこり行ってできるようなものでもなさそうですし、残念ですがこれも時代の流れとしか言い様がありません。でも、マタギの皆さんの素敵な笑顔の写真がとても印象的でした。

その直前に読んでいたのがこちらの「絶滅した日本のオオカミ―その歴史と生態学」。こちらはなんと、米国の方が書いた本の翻訳です。個人的には「日本のオオカミの生態」を期待して読み始めたのですが、そこはすでに絶滅してしまった動物の悲しさで、結局こちらは日本人とオオカミの関係と、絶滅に至る理由をまとめた形の内容に終わっています。生態学が確立される前に絶滅してしまったのですから、生態でさえもよくわからなくなってしまったのも致し方なしです。たとえ現代にオオカミが生きていたとしても、狭い日本では人間とトラブルになっていたでしょうし、日本人がオオカミを絶滅させてしまったことも、生命の歴史の一コマなのかもしれません。

絶滅した日本のオオカミ―その歴史と生態学絶滅した日本のオオカミ―その歴史と生態学
浜 健二 訳

北海道大学出版会 2010-01-25
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このページは、raizoが2010年4月12日に書いたブログ記事です。

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