「ぼくらの昆虫採集」と「むし学」

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9月はむしの本2冊を読みました。ジュンク堂は理科系の本も充実しているところが良いですね。新刊を手にとって選ぶことができます。やはりこのあたりはリアル書店でないと。普通の文芸書と違って値段も高いので、中身を確認してから買いたいというところもあります。

さて、まずは青木淳一先生の「むし学」。虫好きのための「虫学」入門書というのが帯文です。先生の専門でもあるダニは「昆虫」ではないことになっているので、クモやダニ、ムカデやヤスデもふくめて「むし」という意味のようです。

ターゲットは、虫の魅力に気づいたり、大学で生物の研究をしたい高校生以上の人達、そして老後の楽しみに虫とつきあいたいと思っている人たちのために書かれたそうです。読んでみて、一般向けというよりは、自然科学の素養のある方向けかなと思いました。

中身はといいますと、虫の名前、種、生態、人間との関係、昆虫採集と標本、虫学者になるための心得、虫学者列伝、そして先生の海外虫紀行です。

分類学的に鞘翅目→コウチュウ目 鱗翅目→チョウ目 など、カタカナ表記に変わってしまった経緯なども書かれていました。もちろん先生はこの案に大反対だったそうです。漢字は見ただけでおおよその意味もわかるのに、せっかくの利点を放棄したような決め方は、本を読まないデジタル人間が考えたことではないかと勝手に想像しています。コウチュウ=甲虫だと知っていれば良いのですが、やがてそれもわからなくなってしまいます。植物や鳥の和名もそうですね。

そして普通の昆虫入門本とは違って、通常はまずでてこないダニ(青木先生の専門)の話が散りばめられているところもこの本のミソだと思います。

さて、もう1冊は「ぼくらの昆虫採集」。帯文は「虫捕りは大人になるほどやめられない」…と豪語する、プロの昆虫学者ではない、池田清彦、養老孟司、奥本大三郎の3人が監修した本です。こちらは大人の「昆虫採集」ハウツー本ですね。

3人のおじさまたちの熱中ぶり、はしゃぎっぷりがなんとも楽しく、そんなに面白いのだったら私もやってみたい!思わされること請け合い(それは私だけか?)です。

採集から標本の作り方、デジカメでの撮影方法まで写真で丁寧に解説されていますし、参考図書や、昆虫採集や標本づくりのための道具の入手先まで紹介され、データも充実しております。

こちらのほうが、より一般向けだと思いますので、昆虫に興味がある方は、ぜひこちらを一読することをお勧めします。昆虫採集に出かけたくなりますよ。

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