ヴォーンダ・ミショー・ネルソン「ハーレムの闘う本屋」で本の力を考える。

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Twitterかなにかで新刊情報を見かけて気になっていたところ、千駄木の往来堂で見つけて勇んで買ってきました。休みの日に一気に読了しました。

ニューヨークに実際にあった黒人関連の専門書店「ナショナル・メモリアル・アフリカン・ブックストア」と、その店主ルイス・ミショーのお話です。

ミドルネームで分かるとおり、筆者はこの「闘う本屋」さんを作ったミショーさんの親戚にあたる方。多くの人に聞き取りをして、若干のフィクションを加えながらこの話を書いたのだそうです。

ミショーさんの若い頃のやんちゃぶり、あまりほめられたものではない前半の人生に比べ、40歳を過ぎた頃に、黒人が書いた黒人についての本だけを扱う本屋さんを始めた後の話は、まるで人が変わったようです。

若い頃から黒人の人権活動的なことに興味を持っていたという素地はありましたが、黒人の街と言われるハーレムにやってきて、どこのお店でも結局は白人の利益になってしまい、ほとんど自分たち黒人のためになっていないということに気付いたあたりから、急激に人生が急展開していきます。

本を読み、知識を得て、自分が何者なのかを知って初めて現状を改善できる…そんな信念の元、黒人のための本屋さんを作ろうと決意し、たった5冊から商売を始め、ハーレムの街を車を引いて本を売ります。そうやって黒人の意識向上に貢献し、マルコムXなどの黒人活動家とのつながりも深くなり、学歴こそない前科者だったけれど、やがて多くの人々から尊敬を集める人物となっていきました。

日本版のタイトルが「闘う本屋」ということで、読む前は黒人の自由民権運動の活動家の話かなと思っていたのですが、読み終わってみると「本」の話だったのでした。

いろいろなエピソードの中で、本の力で人の意識が変わっていくこと、なによりミショーさん自身の人生も大きく変わったことに、どんなに本の力が大きいのかを感じさせられました。

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