今年で4回目の参加となった石巻一箱古本市2015。当日の朝までどしゃぶりで、お天気が心配でしたが、なんとか雨も上がり、お店は実は蒸し暑いスポットではありましたが、無事に終了いたしました。
今年も私「くものす洞」の店主としての一日を報告させていただきます。
前日、仕事を終えてから前ノリで石巻へ。実家で1泊し、朝はこのところ恒例のくみこさんとのテレビ体操でスタートです。
朝食後、少し早めに家を出て、まずは石ノ森萬画館へ直行しました。ショップだけの利用は入館料はいりませんので、ショップへササッと入り、先週発売されたばかりの「たたかえ!!シージェッター海斗」のCD購入!
実は高校の頃は水木一郎さんのファンでして、萬画館のショップ限定のサインハガキを狙っていたのでした。本当は先週のライブが見たかった…震災以降何かと来石していらっしゃる水木さん(仙石線の全線開通の時も!)ですが、タイミングが合わず、まだ生でお会いしたことがありません。いつかまた会おうゼーット!
おっと、つい大きく脱線してしまいましたが、まずミッションを1つこなし、北上川の川風を受けながら寿町の「パナックけいてい」さんへ。けいていさんは立町の仮店舗でずっと営業していたこともあるのでしょう、津波が来た時間で止まったままの時計がまだかけてあるなど、お店の中は津波の面影の残る店内でした。
今回同じ場所でお店をご一緒したのは、仙台から来た(そしてなぜかミシマ社のTシャツを着ていた)「オカピの本」さんと、噂に聞く鎌倉から来た「ちのり文庫」さんのお二人。ちのりさんは初めての遠征、オカピさんは初めての一箱出店とのこと。
ちのりさんの怖い本の箱の話は以前からあちこちで聞いていましたので、いったいどんな方が?と思っていましたが、清楚なスタイルでかわいい感じの方だったのでビックリしました。(京都のちのりさんは、先日の不忍の時にお見かけしております)
で、いつものブックコンテナでオープンだったですが、「こわれもの」表示をしなかったため、輸送の衝撃に耐えきれず、箱を開けたら板がバラけて崩壊寸前でしたが、なんとか外見は組み立てて開店しました。
このイベントがだいぶ定着してきたからなのか、昨年同様に今年も比較的早い時間から、お客様が現れました。
最初に売れたのが意外にも「別冊東北学 Vol.4」。私は「若宮丸」の方をアピールするつもりだったのですが、お買い上げになられたのは、石巻出身の弁護士布施辰治のほうに興味があるとのこと。この本はなかったよね…とご夫婦で話をしながらのご購入でした。私も勉強になりました。
目玉の又吉直樹「火花」は、古本おじさまらしき方に。「初版だからね」と誇らしげにお買い上げになりました。こちらは版まではまったく気にしていませんでした。ちなみに、一緒に出していた「俳人と芸人」は売れず。個人的にはこちらのほうが面白かったのだけれど、私のアピールが足りませんでした…。
女川でインターンシップで働いているという男子大学生は「南方熊楠」の新書と「海と本屋のはなし」。昨年ご一緒した書肆落花生さんが「熊楠」は鉄板ですよとおっしゃっていたので入れたのですが、その通りですね。
みすずの高い本「サードプレイス」も、売れるかなと思っていたけれど、コミュニティに関心のあるお若い方に買っていただけました。「稼ぐ街が地方を変える」もやはり別の若い男性がお買い上げ。みなさん、これからのまちづくりに役立ててくださいね。
公式カメラマン(?)の方には、「日本の秘境」。秘境のようなところに行くのがお好きなのだとか。訪ねる地はいまは失われた日本という感もありますが、まだ秘境が残っているかも知れないですねぇ。
カメラを下げた地元石巻のライターの方には「山の人生」「東北の震災と今和次郎」「日本人はどんな肉を喰ってきたのか?」など東北らしい本をセレクトしてお買い上げいただきました。肉の本は私としてはオススメなのに、昨年からずっと売れ残っていたもの。
くみこさんからの委託本(といっても元は私が買ったのですが)「イエスの言葉 ケセン語訳」を買われたベビーカーを押していた若い女性。どうしてこの本を?とお聞きしたら、テレビでケセン語の話を見て気になっていたそうです。九州から来て石巻で嫁がれたのだとか。子育て頑張って下さい。
途中で、たまたま翌日仙台で仕事があって帰省していた弟に30分ほど店番を頼み、昼食調達もかねてまさにかけ足で各ポイントを1周り。あちこちに挨拶をするのが精いっぱいで箱をゆっくり見る余裕はありませんでしたが、往来堂さんの先行販売のお店のTシャツ(シロフクロウのペア柄!)と…
消費税分割引だった羽鳥書店さんで成田亨作品集を羽鳥さん自ら売っていただきました。ここで買うつもりでいましたので、とにかくこの本が買えてうれしい。
その昔、オヨヨ書林が根津にあった頃、100均で拾った「日本糞虫記」は若い女性の元へ。私はこの本をきっかけにフンチュウ熱が高まったという1冊でしたが、フンチュウとは縁もゆかりもなさそうなこの女性にもフンチュウという存在が伝わることを喜ばしく思っております。
しかし、これを除くと総じて理系な本はほとんど売れずに撃沈です。今回は「これは売れそう」という品揃えをあまりしなかったので、ある程度予測はしておりましたが、手に取ってくれる人も少なかったのが残念でした。もっと私も理系な本をアピールすべきだったと反省しております。
そうこうしているうちにタイムアップが近づき、お隣同士のお買い物が始まりました。
オカピさんには、私のイチオシ「クモと糸」をお買い上げいただきました。クモは美しいとおっしゃる純喫茶 星港夜~シンガポールナイト~のマスター様にヨロシク!
ちのりさんには「続・幻影城」。本日の最後の1冊としてお買い上げいただきました。楽しんでもらえたかなぁ。
途中で「普通の本無いの!」(とくにこのポイントはそうだったろうなぁ…)と多少ご立腹気味のおばあちゃんもいましたが、客層は着実に広がっているという印象を受けました。学生ぐらいの若い人、カップル多少、おじいちゃんおばあちゃん世代、女性(これは若い人から年配まで)が多いのかな。
先ほどあらためて計算しなおしてみたところ、結果として24冊12,000円ちょうどの売上でした。売れ残りもかなりありまして、結果的に自宅の本の量があまり減らなかったので、あとで家人様から怒られそうです。
今回は店主女性3人だったせいでしょうか、それぞれが個性的な店主さんたち、そして助っ人さんとの話がはずみ、いつもよりお客様へのアピールがおろそかだったかもしれないです。風通しが悪くて蒸し暑さの中で苦闘しましたが、今回もとても楽しく過ごせました!
表彰式までの時間、ちのりさん、オカピさんを観慶丸本店にご案内し、ちのりさんのお連れの方に、雄勝石のプレートをお勧めして買っていただいたりしました。雄勝石プレート、地元ならではのリーズナブルな値段でありながら、とってもステキですので(重量さえ気にしなければ)石巻のお土産にもぴったりです。石巻へお越しの際は是非。
そうそう、やはりこの待ち時間の間にばったりたおれ屋さんから、これも狙っていたスイカのおたまも買わせていただき、帰りにぶら下げて帰ってきましたよ。
そんなこんなで、また翌日朝から仕事がありますので、表彰式を中座して東京まで帰ってきました。
今回は、同時に開催されているイベントもいくつかありましたし、街を人が歩いているというのがとにかくよかったなと思います。やはり街は人が回遊してこそ。車で乗りつけての買い物も楽で良いけれど、これからは街を歩く楽しみも増えてくるといいですね。
という訳で、今年も1日があっという間に終わってしまいました。やっぱり楽しかったです。終わってしまってちょっと寂しいなぁ。スタッフの皆様、いらして下さった皆様、本当にありがとうございました!
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