小林昌樹『調べる技術』(皓星社):さっそく役にたってます〜(事例付き)

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副題は「国会図書館秘伝のレファレンス・チップス」。国会図書館で長くレファレンスを担当していた方による、調べもののワザをまとめた本です。

主にWebでの検索で情報をみつける方法が紹介されています。Googleで検索するだけでは見つからないものが見つかるのですよ〜。


最近、石巻の郷土史、特に近現代について興味がわき、会に入会したり、先輩方に話を聞いたり、自分で調べたりしています。特に自分で調べるのがとても楽しい。特に明治〜昭和の調べものをする機会が増えたのですが、この本がさっそく役にたっています。

先日は、今は無くなってしまった写真館「笑門館」の創立年はいつなのかを調べました。これは郷土史家の方からのご依頼でした。最近デジタル担当として活動しております。

まずは普通にGoogleで検索すると、同名のスナックの情報と、少し前に名前を変更した同名のビジネス旅館の情報しかでてきません。これは予想されたこと。

そこで、この本で知った国立国会図書館国立国会図書館デジタルコレクションで検索してみました。

蔵書のデジタル化が始まった頃は、そんなのどうなの?と思っていたけれど、地方でも著作権が切れた資料をいつでも閲覧、印刷、ダウンロードできるようになって、大変ありがたい。私は利用登録して使っています。

しかしここで「笑門館」で検索しても、12件ほどしかヒットせず、写真館があったことはわかるものの、設立日まではわかりません。以前、会社や銀行について調べましたが、株式会社や銀行は「官報」に掲載されるため、官報の情報を探すと比較的簡単に見つかります。今まではこれでだいぶ分かったこともあります。これはこの『調べる技術』でも紹介されていました。

で、笑門館の検索結果から、笑門館の初代・淺野廣記(浅野広記)のフルネームが分かったので、名前で検索。これが14件。先ほどの検索とダブっているものが多く、情報は見つけられませんでした。

では官報の中で、地名で探してみました。旧町名が「湊田町」だったので、湊田町で検索したところ、戦前の様々な会社の情報が出てきました。それはそれで面白く、ついついあれこれ読んでしまい、大幅な寄り道をしてしまいます。

行き詰まったので『調べる技術』の中に何かヒントがないかなと、あらためて読み直すと、「次世代デジタルライブラリー」が紹介されていました。これもデジタル化された戦前資料が全文検索できるものなのですが、前述のデジタルコレクションとOCRのシステムが違っていて、全文データも違うものが格納されているらしい…のだそうです。

さっそく名前で検索をかけてみたところ、ヒット件数は実質3件と少なくはなったのですが、デジタルコレクションよりもさらに詳しい内容が出てきました。1940年発行の『大衆人事録 関東・奥羽・北海道篇』の中に、名前が2件出てくるのですが、1件は目次に、もう1件が本文でした。この本、デジタルコレクションでの検索でも出てきていたのですが、全文検索をかけても目次の名前しか拾ってくれなかったのです。

というわけで、この本の中の浅野広記さんの詳細ページに行き着き、開業年が大正5年と判明したのでした。見つけたときは思わずモニタの前でガッツポーズ。

この本が何なのかわかっていれば、目次に名前があるなら本文があるはずだと気付いたと思うのですが、そこまで思いが至りませんでした。でもこういった調べ方のコツがつかめてくると、目的に到達する時間は早くなりそうです。

そして、関連していろんなデータが見つかってしまうため、調べてみたいことが次々芋づる式に登場し、ちょっと大変なことになってます。

この『調べる技術』が身に付くと、調べることが楽しくなります。他にもTipsがまだまだあります。Googleだけが手段ではないことがよくわかる一冊。おすすめです!

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このページは、raizoが2023年6月30日に書いたブログ記事です。

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