博物館の誕生―町田久成と東京帝室博物館

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4004309530博物館の誕生―町田久成と東京帝室博物館
関 秀夫


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ちょうど東京国立博物館に行った頃に読み始めた本。思いのほか面白かったです。最近読んだ新書の中では一番良かったなぁ。「上野の博物館」の創始者である町田久成という人物を中心に、日本で初めての博物館ができたいきさつが書かれています。

博物館のできるまで...という単純な話かとあまり期待しないで読み始めたのですが、明治維新後の政治にも大きく影響を受けており、そういった薩摩藩の事情や政治上の人間関係、当時の省庁同士の縄張り争いなど、ドロドロしたところが多くて興味をそそられました。

東京国立博物館と上野動物園は同じ日にオープンしているのですが、上野動物園の創始者と言われている田中芳男は、この町田久成とはいわばライバル関係だったようで、この本ではどちらかというと田中が悪役になってます。

また国立科学博物館の前身である文部省管轄の教育博物館とも因縁があり、現在の国博の敷地はもともと文部省の土地だったものを、現在の科博のあるあたりと交換してもらったこと、自然科学系の展示物を、教育博物館との間で押し付け合ったことなども書かれています。

町田久成が、大英博物館を目指して作った博物館。現在の上野公園大半が敷地内という緑の多い贅沢な作りであったことに驚かされます。当時の玄関口である黒門といわれる門は、現在の西郷さんの下の交番のあたりにあったそうで、そこから博物館の玄関先まで、現在の桜並木の道を延々と進んで行くわけですね。

町田は公園内に建物が増えてくることを好まなかったそうですが、当時に比べるとたくさんの施設が増えたものの、文化的で緑の多い静かな上野公園を、今後も残してもらいたいと思います。

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このページは、raizoが2005年7月19日に書いたブログ記事です。

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