内澤旬子「世界屠畜紀行」

世界屠畜紀行世界屠畜紀行
内沢 旬子


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アマゾンでは「内沢」になってしまっていますが、内澤旬子さんの本格イラストレポート第2弾(第1弾「センセイの書斎」の感想文はこちら)「世界屠畜紀行」を読了。古書系ブログで評判になっていたので、発売に予約して購入たのですが、合間に図書館で本を借りてしまって読むのが後回しになっていました。ぼやぼやしていたら、昨日の朝日新聞の朝刊に書評も大きく掲載!

内澤さんのはてなダイアリーによりますと...

内澤旬子・空礫日記
解放出版社総出で品出し作業していますが、品薄状態とのことです。アタシの手元にも一冊しかない状態です。入手できない方、今しばらくお待ち下さいませ。
だそうです。書評掲載でますます品薄になりそうです。

さて中身はといいますと、私たちが食しているお肉ができるまでの工程や、世界中の屠畜の様子を詳しくレポートした本であります。この本ではあえて「屠殺」とはいわず「屠畜」という少しやわらかい表現を使い、ともするとグロテスクと思われがちな屠畜の様子が、楽しい(?)イラストとともに描かれております。

単純に初めて知る屠畜の世界として大変面白く読めました。特に東京芝浦屠場のシステマティックかつ職人技な屠畜様子が圧巻。そして、各国の食肉&屠畜事情の違いも、詳細なる突撃レポートで詳しくわかります。食文化、そして職人芸の本ですね。

BSE問題をきっかけに行われている全頭検査とはどういうことなのかも、よ縲怩ュわかりました。これを読むと、米国産の肉は確かにちょっと怖いような気がしてきます。

そして、もともとが雑誌「部落解放」に連載されていたこともあり、屠畜に付き物の部落問題にも要所要所でさらりと触れられています。私自身は部落差別に鈍感(敏感の逆です)な地方に住んでいました。中学生の時、下の学年に関西地方から転校してきた部落出身だという子が、学校生活で全く部落差別がないのでとても喜んでいる...という話を聞いて、はじめて部落差別を知りました。確かにその話を聞くまでは、部落差別というのは全く聞いたことがありませんでした。世の中にそのような差別があることを聞いて、かえって気になってしまった面もあります。本の中でも「どうして差別があるのか...」という内澤さんの素朴な疑問が何度も出てきますが、バリバリの部落問題本とは全く違いますので、身構える必要は全く無しです。

著者の後書きに「あなたと同じ感覚を持つ日本人は20人に1人位だ」と言われた話がありました。私もどちらかというと「見てみたい」と思うほうの人間かもしれませんが、実際に屠畜場に行ったことにある人に聞くと、見学の後に気持ち悪くなって吐いてしまう人もいる...という話も聞きます。いざとなると私はどうなんだろう...少なくとも「怖い」とは思わないと思います。人間も含め、生きている大型動物のほうが怖いです。

ということで、私自身は読後も爽やか。なんだか屠畜場見学にも行って見たくなりました。

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嶋自慢の日々 - 広がる話 (2007年12月20日 08:59)

yojibayが最近は哲学的な事を書いたり、愛読書を紹介したりアクティブにブロ... 続きを読む

コメント(2)

ネットでも一部屠畜動画が見られますよ。
やっぱり日本人だったら、菜食魚食が一番体に合うんじゃないかなあ。

>夢の泉 さま

どちらかというと、一度その「職人芸」を間近で見てみたい...という欲求ですね。

私自身は野菜だけの料理でもOKなので、肉が食べられなくても平気なのですが、東京では魚が高いので、ついつい魚は敬遠してしまいます。肉食が高級というイメージも、だんだん薄れてきますね。

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このページは、raizoが2007年2月12日に書いたブログ記事です。

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