フィデル・カストロの映画「コマンダンテ」

| コメント(0)

オリバー・ストーン監督が、キューバ共和国の最高責任者フィデル・カストロ国家評議会議長にインタビューしたドキュメンタリー映画「コマンダンテ」を見ました。アメリカでは上映禁止になった映画です。渋谷のユーロスペースで見ましたが、客層は思ったより高く、1人できている人多し。意外にも男女比率は同じぐらい。

映画公式サイト -COMANDANTE-コマンダンテ

実は以前から密かにフィデル(弟のラウルとの区別もありますのでこの呼び方で...)のファン。日本ではどうしてもアメリカの影響で「カストロは悪者」のイメージが強く、キューバ革命というと「チェ・ゲバラ」のほうが圧倒的人気です。私としては、アメリカの言うように、フィデルが極悪指導者だとは思えず、キャラクターとして個人的に憎めないなぁと思っていました。ご本人は昨年、手術のために政治の一戦を退いて静養中。そのご容体も少々心配してはいるのですが、この撮影の頃はいたって元気な様子です。

つい先日も、かつてアメリカのCIAがカストロ暗殺を計画していたが失敗した...というようなニュースがありましたが、革命から50年、その間一貫してアメリカに正面切って楯突く国なんてなかなかありません。そういう意味ではたいした人物だなぁと思うのです。

予習のつもりで古書店で古い岩波新書「キューバ」(1960年刊/100円で購入)も読みました。まだゲバラがキューバの工業相の地位にある頃に出版されていますから、革命間もない頃に書かれたものです。本の中に、革命前に裁判にかけられた際、フィデルが自らの弁護のために5時間にわたって語った弁論の抜粋があります。著者も書いていますが、当時27才だった独房に閉じ込められていた青年が、このような演説を即席で行ったとは本当に驚くべきこと。まさに「革命的」演説です。やはり非常に頭の良い「弁の立つ」人なんですね。この本だけ読むと、革命前の政権を支援していたのはアメリカであり、本当の悪人はキューバではなくアメリカだった...というような印象を持ちました。他の中南米の国々ではうまくいったのに、キューバだけはアメリカの思うようにはいかなかった...ということです。

そんなことを予習しつつ...映画では、フィデル自身がキューバ革命ゲバラのこと、キューバ危機、政治のこと、ちょっぴり個人的な話などを、率直に、そして信念を持って語っていました。私にとってはかなりの好印象。ますますファンになりそうです。なぜかフィデル自身よりも、30年ずっと彼の英語の通訳をしているという通訳の女性の声が、頭の中にこびりつきました。多弁なフィデルの言葉を、本人に代わってよどみなくストーン監督に伝え、「フィデルを愛している」と臆面もなく宣言する忠誠ぶりでした。

若い学生たちや町中の民衆から、自然に「フィデル」コールがわき上がり、「コマンダンテ」(司令官ということでしょうか)と声をかける学生も。その呼称がこの映画のタイトルになっております。いわば独裁者ではありますが、それなりに人気もあるということです。

映像でもチラっと出てきますが、若い頃のフィデルは、俳優のリーアム・ニーソンに似ているなぁと時々思うのですが、フィデル・カストロの生涯なんかが映画化されるときに主演したりすると...もうハリウッド映画には出られなくなりそうです。それぐらいアメリカは怖い国かも...思いました。しかしこういう映画(実際はテレビ番組として作られたそうですが)を作っているのもアメリカですので、まだ表現の自由はあるということですが...。

Cubabookこちらは予習に使った岩波新書「キューバ」。しおり代わりに使われていたのか、歌舞伎町の喫茶店の「御招待券」がはさまっていました。

B000QJMB66フィデル・カストロ×キューバ革命
フィデル・カストロ.ジョン・F・ケネディ.チェ・ゲバラ.フルヘンシオ・バティスタ.ノルベルト.フェンテス アドリナーナ・ボッシュ
ビデオメーカー 2007-07-27

by G-Tools
408747884X冒険者カストロ
佐々木 譲
集英社 2005-11-18

by G-Tools

コメントする

アーカイブ

子規の一句

鮟鱇の口あけて居る霰かな

このブログ記事について

このページは、raizoが2007年7月 7日に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「みつばちトートのブックカバー発売中!」です。

次のブログ記事は「アントニー・ワイルド「コーヒーの真実」」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。