映画「花はどこへいった」

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神保町の岩波ホールで、坂田雅子製作・監督・撮影・編集のドキュメンタリー映画「花はどこへいった」を見ました。

公式サイト→SIGLO:花はどこへいった

映画の中のナレーションも含め、ほとんど坂田さんご自身で作られているようですね。お話は、ご主人の写真家、グレッグ・デイビスさんが肝臓ガンで亡くなるところから始まります。不調を訴えての入院からわずか2週間で亡くなってしまい、その喪失感の中で、このガンの原因がベトナム戦争従軍の際の枯葉剤のせいではないか...という疑問から、ベトナムで枯葉剤の被害について取材することになります。

アメリカ軍がベトナム戦争時にまいた枯葉剤については、ある程度は知っているつもりでした。が、今もなお、多くの人が枯葉剤の影響と思われる病気や障害に苦しんでいるということに驚き、そして本当に胸が痛みました。個人的には被害も時間が解決してくれていると思っていました。でも枯葉剤の被害は子供ばかりでなく、孫の世代にまで及んでいるのです。その影響が人間の体内からなかなか消えないということですから、本当にダイオキシンは恐ろしい物質です。

ベトナムは近年経済発展が目覚ましいとはいえ、大半の国民はまだまだ貧しい生活をしています。その貧しさの中で障害を抱えた子供を育てるということが、いかに大変なことなのか。貧しさからその障害をもつ子供を育てきれない家庭もたくさんあります。その一方、貧しい生活の中で障害をもつ子供を育てていく決心をし、家族みんなで可愛がって世話をしている様子には胸を打たれました。

アメリカも、どうして遠くはなれたベトナムで、そこまでして戦わなくてはいけなかったのか...私にはその理由がなんとも理解できません。原爆のこともそうですが、枯葉剤にしても半ばぶっつけ本番の動物実験のようで、どうも腑に落ちません。相手がアジア人ですと、どこか見下したようなところがあるのかも...と思ったり。

いろいろと考えさせられる重い内容ではありますが、願わくばもっと若い世代に見て欲しいと思いました。なにしろ会場内の平均年齢がかなり高かったので...。

でも、それぞれに強く生きているベトナムの人たちに、エールを送りたいと思います。この強さがアメリカに打ち勝った強さなののかもしれません。

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このページは、raizoが2008年6月20日に書いたブログ記事です。

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